「僕の彼女は、女優です」 Vol.3

「なんで、あの子ばかり…?」2流モデルが抱いた劣等感と同時に渦巻く、姑息な女の打算

—芸能人。

それは選ばれし一部の人しかなれない、煌びやかな世界で生きる人たちのこと。

東京という街は、時に芸能人と出会うチャンスに溢れている。

テレビの中の人物が、ある日突然、レストランで隣の席に座っていることもある。

東京には、夢が溢れている。ドラマのような出会いが、実際にある。


IT社長として財を成した中澤隼人(35歳)も、そんなドラマのような体験をした一人。

平凡な毎日を送っていたが、今をときめく女優・悠美(ゆうみ)と出会い二人きりで食事へ行く仲となった

しかしその一方で、二人の知らない所で様々な人たちの思惑が動き始めていたのだ・・・


—モデル・亜弥の思惑—


「中澤隼人 IT」


あの日『イルブリオ』での食事会へ行く車内で、私は素早く彼の名前を検索していた。

今日の食事会をセッティングしてくれたのは、女子アナの奈々だった。今日来るメンツを聞いたところ、モデル仲間では名の知れた経営者の弘人と、たまにテレビでも見ることのある隼人だという。

弘人の方はモデル好きとして有名で、私のモデル仲間のうちでも既に彼の“ご贔屓”にあった子を何名か知っている。

弘人は既婚者だが、彼女になればビジネスクラスでの旅行にブランド物の新作バッグが付いてくる。

実際に、彼の女になった子達はこれ見よがしに分かりやすいブランド物のバッグと、彼女たちの収入や知名度ではありえない、華やかな生活の様子をInstagramにアップして自己満足に浸っている。

けれども、私はそんな女たちを見て鼻で笑っていた。弘人と交際することによって、一時的には潤うが、彼女たち自身のイメージに傷がつくことを分かっていない。馬鹿な女たちだ。

「私は、そんなレベルの女じゃないのよ」

そう小さく呟くと、運転していたマネージャーの中本さんが、“え?何か言いましたか?”と聞いてきたので、私は愛想笑いを浮かべる。

「別に何も。ただ、今日の食事は楽しくなりそうだなぁって♡」

そうして、私は『イルブリオ』の個室の扉を開けた。

最初から、隼人に狙いを定めて。

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