実家暮らしの恋 Vol.7

「LINEの相手は、誰…?」四六時中スマホを離さない彼女へ向けられた、男からの残酷過ぎる一言

東京で1人暮らしを始める際、家賃の高さに目を疑う人も多いのではないだろうか?

特に23区の人気エリアでは、狭い1Kでも10万円を超えることはザラ。まだ収入の低い20代の若者たちの中には、“実家暮らし”を選択する者も少なくない。

家賃がかからない分可処分所得が多くなり、その分自分の好きなことにお金を使えることは、大きなメリットだ。

大手総合商社で働く一ノ瀬遥(28)もそのうちの一人。

仕事は完璧、また収入の大半をファッションや美容に投資できる彼女はいつも隙なく美しく、皆の憧れの的。最近は新しい彼氏もでき、全てが順風満帆…のはずだったが!?

実家暮らしだった遥は思い詰める余り、圭介に同棲の提案をする。圭介は遥の気持ちを受け止め、何とか両親の許しを得てウキウキの同棲生活がスタートするが…!?


圭介の苛立ち


―またスマホ見てる…

遥と同棲を始めてから、2ヶ月が経とうとしている。圭介は自分の中でモヤモヤとしている、ある違和感に気付き始めていた。

―仕事で俺が疲れているだけだと思おう…。遥は頑張ってくれてるんだから…。

最近圭介は毎日帰りが遅く、日付をまたいで帰ることもある。それ故、ストレスが溜まっているのも事実なのだ。

今日は久しぶりに21時頃に帰宅出来た。遥の作った食事を一緒に食べ、少し寛ぐ時間が出来たのは久しぶりである。

「後片付け、今夜は俺がきちんとやるから。遥は先にお風呂に入って」

遥が風呂場で水を流す音が聞こえ始めてから、圭介はようやく重い腰を上げ、食器を洗い始める。

洗いながらふと、彼女との関係に思いを馳せた。

食器洗いはもともと圭介の分担だったが、ここ最近は遥が黙ってやってくれることが続いていた。仕事に惜しみなく時間を割くタイプだった彼女が区切りをつけ、圭介の家事を多めに引き受けてくれている。圭介にとっては、とにかくありがたい事…のはずだった。

1人暮らしをしたことがない遥が、この暮らしを守るために恐らく実力以上に奮闘している。そのことに対して、最近までは感謝と愛おしさしかなかったはずなのに。

―…それなのに、このわだかまりはなんだ?

圭介は食器を洗いながらリビングに目をやる。風呂上りの彼女がソファに座り、スマホを握ったままバラエティ番組を観てクスクスと笑っている。

―つい最近までただ愛おしくて、ありがたくて、大好きだったはずなのに…。

“ピコン”

LINEの受信音が鳴ると、彼女はすかさず画面を開き、なにやらテキストを打ち返している。

圭介は、その「不満」の原因のひとつは彼女の握りしめているスマホだと気付いた。

―あんなにひっきりなしに、誰とやりとりしてるんだか…。

仕事の疲れもあり、圭介はいま一つ落ち着かないのだった。

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