実家暮らしの恋 Vol.4

「やっぱり、あなたと一緒に住みたいの…」情緒不安定な28歳女の重い告白に、覚悟を決めた男

堪えられない気持ち


「ああ、楽しかった。腹も減ったし、行こうか」

遥の分のバイクを返却し、圭介は満足そうに遥の手を繋ぐ。遥はその大きな手を力なく握ってはみたが、もう疲労困憊で、このあとうまく笑えそうにないな、と思い始めていた。

―圭介は、実家暮らし同士の交際でも、割り切って今を楽しく過ごそうとしてくれているのに。

―それなのに、自分と来たら…

「え?遥?どうしたの?」

遥は立ち止まり、目に涙が溢れるのを無理矢理堪えていた。

「…ごめん…」

道行く人々が、興味津々といった様子で2人を見ながら通り過ぎて行く。

感情のコントロールが利かず、涙ばかりで言葉が出てこない。恋する女特有の不安感に憑りつかれている遥は、情緒不安定な状態に陥っていたのである。


「…こっちおいで、遥」

圭介が、少しでも人通りの少ない路地の方に遥をそっと引っ張って行き、優しく声をかける。

「俺、何か悪いことしちゃった?ごめん、気が付かなくて…」

遥はゆっくり首を横に振る。圭介が為す術なくうろたえているのがわかった。

―そりゃそうよね、何......


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