幸せな2人 Vol.7

「失敗は、絶対に許されない…」。開業医と結婚した女にのしかかる、“お受験”という容赦なき重圧

―私は私。他の誰とも比べたりしない。

結婚して、出産する前まではこんな風に考えていたのに。

子供を持ち母となって、劣等感と嫉妬心に苦しめられる女たち。

未だかつてない格差社会に突入した東京で、彼女たちをジワジワと追い込むのは「教育格差」だった。

結婚により生活レベルが下がってしまった佐々木エミ

夫と娘を愛しているのに、森田実沙子との再会によって、教育格差を実感。焦燥感や共働きのストレスにより、家庭は壊れかけていく。

一方で、金銭的な不安を持たず日々を過ごす持つ実沙子だが、夫の浮気疑惑が発覚。さらに幼稚園受験や妻・母としての重圧により円形脱毛症を発症するなど精神的に追い詰められていた。

お互いに生活環境の違いが目につき始めるも、なぜか仲の良い2人の娘たち。

良い母になろうともがく2人の女の人生は、ますます混迷を極めていくのだった。


私は、なんでも知っているのよ


「実沙子さんは、本当によくやっているわ。私、あなたのこととても凄いと思っているのよ」

最近のお義母様は、特に用事がなくても我が家に来たがります。

私がきちんと幼稚園受験の準備をしているか、みなみの様子がどうなのか、気になるのでしょう。

私の努力を認めてくださるのも娘と遊んでくださるのもとても助かるのですが、お義母さまがいらっしゃる時は、出来るだけ良い母でいようと、余計に背中に緊張が走ります。

お義母さま世代の方が喜ぶような献身的な母親像を無理に演じ、帰宅された途端、抜け殻のようになる。

ー自己犠牲の精神で、子供に尽くす母親こそ素晴らしい。

母親が自分の人生を諦め子供に全てを捧げることが良しとされ、我慢を美徳とするこの国の人たち。

そんな価値観、一体誰が決めたのでしょうか?

そして、なぜそんな価値観に縛られなくてはいけないのでしょうか?

正解がわからないまま日々子育てに奔走している私は、ついつい注意散漫になっていました。

「ねぇ、実沙子さん、最近あなたとても楽しそうよね。前よりも肩の力が抜けている感じがする。やっぱりみなみちゃんを預けて1人の時間を楽しんでるからかしら…?」

お義母さまは、とても優しい声で仰いました。私がみなみを預けているのは平日のほんの数時間のこと。昌幸さんには内緒にしていたはずです。

それなのに、なぜお義母さまそのことをご存知なのでしょうかー。

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