幸せな2人 Vol.4

夫に誘われなくなった妻。「完璧な母でいること」に執着した結果、彼女に起こった悲劇とは

―私は私。他の誰とも比べたりしない。

結婚して、出産する前まではこんな風に考えていたのに。

子供を持ち母となって、劣等感と嫉妬心に苦しめられる女たち。

未だかつてない格差社会に突入した東京で、彼女たちをジワジワと追い込むのは「教育格差」だった。

大恋愛の果てに結婚したエミと、代々続く病院の医師と結婚した実沙子。高校時代の同級生だったふたりはそれぞれ、幸せの絶頂にいたはずだった。

しかし偶然の再会をきっかけに、エミと実沙子の幸せだった日常は少しずつ狂い始めていくー。


結婚により生活レベルが下がってしまった佐々木エミ。一方、リッチな家庭に嫁いだものの、夫の浮気疑惑が浮上し、義母との関係にも頭を抱える森田実沙子。

エミは、夫と娘を愛しているのにもかかわらず、実沙子との再会によって、教育格差を実感。今まで感じたことのない暗い感情を抱くようになってしまう。


佐々木エミ:目につき始める、夫のマイナスの面


「夫を活かすも殺すも、妻次第なのよ」

大きな家に住んで、幸せそうに人生を謳歌している素敵なマダムたちは、大抵が口を揃えてそんなことを言う。

"夫に働いてもらって、妻であるあなたは彼を支えればいいのよ"
"表向きには何でもハイハイって聞いてあげればいいの。男の人って、ホントに単純なんだから"

しかし、当時の私には、そんなことは不可能に思えた。

結婚前は目に入っていなかった健太の少し尊大な態度が、いちいちカンにさわり、彼の嫌な面ばかりが見え始めていたからだ。

経済番組を見ながら、自身の10倍は年収があろう起業家を偉そうに批評したり、群馬県の実家の弟さんやお義母さんに偉そうに振る舞ったりする夫を見て、私の気持ちはどんどん冷めていった。

そしてそれに反比例するように、娘のりあへの愛情や関心は高まり続ける。

ーこの子に最高の環境を与えたい。出来ることを、なんでもしてあげたい。

小学校は無理でも、中学からは私立にいれてあげたい、高校か大学では留学もさせてあげたい。習い事だって、彼女がやりたいと興味を持ったものはなんでもやらせてあげたい…。

そんな風に子育てに夢中になっているうちに、あっという間に職場復帰の時期を迎えた。

健太の職場は六本木にあり、DINKS時代から私達はずっと港区に住んでいる。しかし、保活という面ではこの区は恵まれていない。

散々駆けずり回って、やっと確保できたのは認可外の保育施設のみ。

そして、正社員の座を守るために、給料をほぼ保育園代につぎ込む生活が始まったのだ。

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