結婚できない女〜Over 35〜 Vol.8

結婚を遠ざける3大要因の1つなのに...Over35歳・独身女が“温もり”を求めた相手とは

人恋しさは、ペットで十分に満たされる


「前はね、私も寂しい夜とかあってさぁ。男からの夜中の呼び出しに応じちゃったりとかしてた時期もあったわけ。本当バカなんだけど…でもそれでも一人で孤独感じてるよりはマシとかって思っちゃうのよね」

知世が差し入れたアペタイザーたちをテーブルに並べ、二人でワインを開ける。

グラスを片手に語り始めたハルの膝の上には、まるでそこが定位置だとでも言わんばかりにチワワのフランが鎮座し、溢れそうなほどに大きな瞳でまっすぐにハルを見上げていた。

10代の頃からの恋愛をお互いに熟知している間柄であるから、知世とハルの会話に一切の遠慮はいらない。

「夜中に呼び出す男とか相手にしちゃダメってわかってるのに…行っちゃうんだよねぇ。寂しいとね」

知世がため息混じりにそう応じると、ハルがいきなり「それがね」と身を乗り出してきた。

「フランと暮らし始めたら、男なんかいなくたって全然寂しくないのよ。…ペットと男は違うって思うじゃない?私もずっとそう思ってたけど、同じだったわ。ペットで十分に満たされちゃう。一緒のベッドで寄り添って眠る温もり…愛しくてたまらないわよ」

まるで自分が産んだ子どものように愛おしそうに、大切そうにフランを撫でるハル。その姿を眺める知世は、彼女の溺愛っぷりに「へ、へぇ…」と若干引き気味である。

しかしハルから「ほら、抱っこしてみて」とフランを手渡され、自らの手で抱きしめたとき。

そのあまりの軽さ、儚さ、そして手のひらからじんわりと伝わる体温。そして一切の邪を知らぬようなつぶらな瞳で見つめられた瞬間。

その愛くるしさに、完全に落ちてしまった知世であった。


「いやいやいやいや…ペットとか、ないでしょ」

西麻布『ゴブリン』のカウンター席。知世の隣で、男は失笑交じりに彼女の話の腰を折った。

「知世の家に行ったらいつも犬がいるとか俺、ぜったい嫌だよ」

男の名は秀行(ひでゆき)・38歳。知世がここ数ヶ月頻繁にデートをしている相......


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