
〆にしか食べられないトドメの麺
独特のスープを 吸い込んだ絶品麺
かつて博多に夫婦で営む小さなもつ鍋屋があった。小さな店ではあるが、そのもつ鍋は絶品という評判。あるときそこを訪れた人物が、あまりの美味しさにぜひこの味を東京で、と熱意をもって口説いたという。そこで実現したのが、この「かね萬六本木」。この店の料理人和田さんは、博多の本店へ修行に入り、しっかりと味を伝授されている。
「かね萬」のもつ鍋がほかと違うのは、水をいっさい入れず、モツを日本酒で煮ることにある。鍋に和牛の小腸とハツを入れ、日本酒を注いでじっくりと煮立てていくとやがて炎が上がる。こうして、アルコールがすべて抜け、日本酒の旨みだけがスープに残るという仕組み。しっかり火が入ることで、モツの脂もプルプルのゼラチン状に変わる。
一口食べると、このスープの美味しいことにびっくりする。さらに、〆がちゃんぽんというのがよくできている。煮るほどに、麺に旨みがしみこむちゃんぽんだからこそ、スープのうまみを全面的に吸い込むことができる。
餃子や和牛の焼きものから気の利いたおつまみまで、メニューはバラエティ豊か。コースでも単品でも楽しめるので、居酒屋使いからカジュアルな会食まで、使い勝手も幅広い。