東京のアッパー層を知り尽くし、その秘密を握る男がいる。
その男とは…大企業の重役でも、財界の重鎮でもなく、彼らの一番近くにいる『お抱え運転手』である。
一見、自らの意思などなく雇い主に望まれるまま、ただ黙々と目的地へ向かっているように見える運転手が。
もしも…雇い主とその家族の運命を動かし、人生を狂わせるために近づいているのだとしたら?
これは、上流階級の光と闇を知り尽くし支配する、得体の知れない運転手の物語。
ようこそ…黒塗りの扉の、その奥の…闇の世界へ。
これまでのあらすじ
自らの手腕で成り上がった男・環利一(たまき・としかず)。利一は、新たに雇った運転手・鈴木明(すずき・あきら)の身辺調査を始め、そこで得た情報を自身の別荘で鈴木に突きつけた。だが鈴木には利一の手の内を全てを見抜かれており、逆に利一の方が破滅へと追い込まれていく。そして鈴木のターゲットは、妻へと変わってしまう…?
「週刊誌の記者からの問い合わせが、また来ました。今はまだ担当者不在で乗り切っていますが、そろそろ何かしらのコメントを出さねば、彼らは強硬手段に出かねません。今はまだ他社に漏れていないから、独占のコメントが欲しいと」
社長室と広報室をつなぐ専用ラインのスピーカーから聞こえてくる、......
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この記事へのコメント
娘を幸せにするためにこんな大がかりなことできちゃう父親ってすごいな。「次の依頼」も私読みたいけど、みんなどう?