恋とは、どうしてこうも難しいのだろうか。
出会いがたくさんあっても、好みのタイプに出会えるとは限らない。
それどころか、全く眼中にない人からアプローチされて、煩わされることも多いのだ。
大阪にある大手メーカーで、受付嬢として働く愛美もその一人。
愛美は食事会で出会ったチャラ男・拓人にアプローチされるが、初めは「タイプじゃない」と全く相手にしなかった。
しかし2回目に会ったとき、愛美の心は突然動きだす。彼女の態度がいきなり急変した理由は・・・?
※今週の「オトナの恋愛論」は東京カレンダー×読売テレビの特別コラボ企画!チャラ男とマジメ男、あなたはどちらのタイプに惹かれるだろうか?
拓人の第一印象は、はっきり言って最悪だった。
「愛美ちゃん、読者モデルやってるの?こんな可愛い子、なかなかいないなぁ!」
「愛美ちゃんは、どこに住んでるの?この近く?」
受付をやっている同僚から誘われた、堀江のイタリアンバル『ソマリ』での食事会。大阪城近くにあるテレビ局に勤めているという拓人は、“チャラ男”が板についていて、かなり苦手なタイプだった。
いかにも遊んでいそうな、テレビ局員。食事会で盛り上がる分にはいいが、真剣に結婚を考えている私にとっては、論外だった。
そんなことを考えていると、同僚が拓人を“営業部イチのチャラ男”と言っていて、一人納得する。
―今日は収穫なしかぁ。また無駄な食事会に来てしまったわ・・・。
大きく溜息をし、ほとんどなくなっているウーロン茶をすすった。
「あ、愛美ちゃん飲み物頼む?」
「大丈夫です、自分で頼みます」
私はきっぱり断った。
しかし鈍感なのか無駄にポジティブなのか、拓人は食事会の翌日からめげずに私を誘ってきた。
—拓人:昨日はお疲れ(^^)!また飲みに行かない?!
—拓人:番組の公開収録あるんだけど、興味ない?
どの誘いも、速攻で断る。
友人たちは、「拓人さんに流行りのレストラン教えてもらった」と嬉しそうにしていたが、私は彼に何の興味も湧かなかった。
そう。このときまでは・・・。