あなたが港区界隈に住んでいるならば、きっと目にしたことがあるだろう。
透き通るような肌、絶妙にまとめられた巻き髪。エレガントな紺ワンピースに、華奢なハイヒール。
そんな装いの女たちが、まるで聖母のように微笑んで、幼稚園児の手を引く姿を。
これは特権階級が集う「港区私立名門幼稚園」を舞台にした、女たちの闘いの物語である。
麻布十番在住の菱木悠理は、作家の夫・邦彦のたっての願いで、仕事を辞め、娘の理子を名門幼稚園に入れることになった。
東京アメリカンクラブでのママ会で、役員を引き受けるよう仕向けられた悠理。
大イベントのフェスティバル準備では、高輪妻の痛烈な嫌味を受け、啖呵を切ってしまうが、のちに彼女たちの真摯に子どもに尽くす姿を見て、心を動かされる。
フェスティバルの打ち上げで思いがけず夏休みのハワイ集合に誘われる悠理。思い切って参加を表明するが―。
―思い立ってから4日で子連れハワイ、意外にできるもんだなあ。
悠理は夢見心地で、高級リゾートらしいゴージャスなトロピカルジュースを口にする。フレッシュな果物の酸味が、長いフライトで凝った体に染みわたった。
「カハラは何度来てもいいわ。悠理さん、ご主人はあとから合流されるん......
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この記事へのコメント
本人からしたら、運命の恋。
相手からすると、都合のいい女。
「ゴロン出来なかったって言ってたけど、ビジネス空いてなかったの?」
っていうさりげないマウンテングジャブに笑ってしまいました。
ものすごい違う世界に住んでるんだなー
そしてその中でブレない悠里が素敵!