あなたが港区界隈に住んでいるならば、きっと目にしたことがあるだろう。
透き通るような肌、絶妙にまとめられた巻き髪。エレガントな紺ワンピースに、華奢なハイヒール。
そんな装いの女たちが、まるで聖母のように微笑んで、幼稚園児の手を引く姿を。
これは特権階級が集う秘められた世界、「港区私立名門幼稚園」を舞台にした、女たちの闘いの物語である。
麻布十番在住の菱木悠理は、作家の夫・邦彦のたっての願いで、仕事を辞め、娘の理子を名門幼稚園に入れることになった。
しかし初日から、異世界に来てしまったことに気が付き、呆然とする。
そして麻布・白金グループのランチ会が、会員制の東京アメリカンクラブで催されることになり、政界名門妻・東郷綾子のエスコートでなんとか中に入る悠理だったが―。
「それでは、皆様、改めましてご入園おめでとうございます。これからよろしくお願いいたします」
元麻布在住の政界プリンス妻、東郷綾子の挨拶に、テラス席に座った8名の母親たちはお辞儀をする。
太陽光がふんだんに入る美しい空間でビュッフェを楽しんだあと、食後のコーヒーが運ばれてき......
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この記事へのコメント
運動会でも紺色って、どんなの着て行けばいいの?