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  • キャリアと引き換えに、女の幸せを諦めた35歳。独身女に奇跡が訪れた夜

    街角にはクリスマスツリー、煌めくイルミネーション。

    −今年も、世知辛い季節がやってきた。

    丸の内の外資系コンサルティングファームで働く、35歳・独身の大内奈央(おおうち・なお)。彼女にはここ数年恋人もおらず、完全に恋を諦めている。

    例年、クリスマスは女友達と海外逃亡で乗り切ってきた奈央だったが、今年は思いがけぬ奇跡が起こる…!?


    世知辛い季節がやってきた


    −わ、もうそんな時期…?

    仕事を終えてオフィスを出た奈央は、丸の内・仲通りを彩るイルミネーションの瞬きに思わず目を細めた。

    ついさっきまで、自身が担当している某損保企業の膨大な資料と格闘していた彼女には、眩しすぎて直視できないのだ。

    「わ♡すごーい、綺麗!今年の丸の内は、北欧のクリスマスがテーマなんだって」
    「この後、丸ビルのクリスマスツリーも見に行こうか」

    すれ違うカップルが口にした「クリスマス」という単語が、心をチクリと刺して通り過ぎていった。

    −クリスマス、かぁ。

    …そうなのだ。

    不運なことに、今年は12月23日の祝日が日曜であるため、24日のクリスマス・イブが振替休日となる。

    クリスマスをどう過ごすか。そのことに頭を悩ませるのが嫌で、奈央は例年、早々に海外逃亡の予定を立てることにしている。

    思い出したようにスマホを取り出すと、大学時代からの親友・遥のトーク画面を開き、すばやく指を動かした。

    遥も奈央と同じように、35歳・独身、彼氏なし。広告代理店の営業として働くキャリア女子である。

    “遥、ヤバイ。丸の内、もうイルミネーション始まってる😱”
    “どうする?今年もハワイ逃亡でOK?”

    焦る奈央の気持ちを汲むようにメッセージはすぐに既読となり、“絶望のはるか”というネーム入りスタンプが瞬時に届いた。

    “それしかない。アラモアナのSALEで散財しよ💸”

    遥からの返事に、奈央はホッと胸をなでおろす。

    …しかしそれと同時に、ふと“昼間の出来事”が頭をよぎった。

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