怪女-カイジョ- Vol.1

怪女-カイジョ-:「完璧過ぎて、何かおかしい…」。義理の弟が連れてきた美しい婚約者への、強烈な違和感

拭いきれない不信感


「本当ですか?嬉しい、いつなら空いていますか?」

「え…!?えっと…ちょっとどうかな…?譲も忙しいし、スケジュール確認しないとちょっと分からないな…」

「じゃあ、また分かったら教えてくださいね!」

恵里奈はそう言って、人懐っこい笑顔を見せる。その顔は、先ほどの貼り付いた笑顔ではなく、心から笑っているように見えた。

ー義理の兄弟姉妹って、こんなに近いものなんだ…?それとも彼女が特別、人との距離が近いのかな…?

これから家族になろうとしている女性からの誘いを、断るのも失礼だ。でも、美香の脳裏に先ほどの不自然な笑顔がふっと浮かび上がり、その場で彼女からの提案を快諾できなかった。

帰り道、少し肌寒く乾いた風を肌に感じながら、美香は譲にそれとなく彼女の印象を聞いてみた。

「今日、楽しかったね。恵里奈ちゃんのこと、どう思った?」

「すごく気の利く良い子だったね。あんな素敵な子が太一の嫁になってくれるなんて、俺は本当にホッとしたよ。おふくろとも美香とも楽しそうに話していたし、最高の妹ができそうだな」

予想通り、夫は全く恵里奈に対して懸念を抱いていない。それはきっと、義父母も同じだろう。

自分だけが彼女に対して違和感があったことに、美香は罪悪感を覚えた。なのでそのことには触れずに「そうだね、良かったよね」といい、その感情は打ち消そうとした。

そして数日後―。

「太一がさ、今度恵里奈ちゃんと一緒にウチに来たいって。今週末って言われてるんだけど、何も予定なかったよな?」

「え、今週!?」

先日の食事会から数日しか経っていない。それなのに、こんなすぐに…?

その時、美香の頭に恵里奈の言葉がよぎった。

「あんな和モダンな家、憧れます。」

太一から聞いたにしても、当たり前のように知っているその口ぶりが、心の中でずっと引っかかっていた。

「ん?なんか都合悪かった?」

「あ、ううん。今週ね、大丈夫。そっか、ウチに来るなら何か美味しいものを用意しなくちゃね」

美香は彼女への不信感を悟られないよう、笑顔で取り繕う。

だが彼女の名前が出た時、不気味にこちらを見て笑っているお面のような顔が目に浮かび、一瞬背筋が凍る。


心に何か、黒く重たいものがずしりと覆いかぶさる。
その日美香は、うまく笑顔を作れなかった。


▶︎NEXT:10月15日 月曜更新予定
美香夫婦の家にやって来た恵里奈。美香はさらに恵里奈に不信感を抱くようになる…。

この記事へのコメント

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No Name
初対面で高価なお土産の数々って‼️
この女、おかしいと思って当然だとじゃないかと。
2018/10/08 05:3499+返信14件
No Name
祝日の朝から怖いんだけど。。
最近東カレさん、メンヘラとかサイコパスとか多くない?笑
絶対数が増えてるってこと?
2018/10/08 05:1499+返信22件
No Name
ひとみ弐号機の来襲か!?
2018/10/08 05:2099+返信3件
もっと見る ( 147 件 )

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