女の会話に潜む罠
「じゃあせっかくだし、乾杯しようか!」
食事会当日―。
優奈の一言で、太郎と友人二人、そして遥香と恭子の計6名は乾杯をする。目の前に座る女性陣は皆美人で、太郎を始め男性陣は最初からテンションが高かった。
「みなさんすごいお綺麗ですけど、お仕事は何をされているんですか?」
「私たちは客室乗務員なんです〜」
「そうなんだぁ。美女の周りには美女が集うんだね。でもCAさん達って体力勝負なんじゃない?」
男は単純である。美人に弱いのは、いつの時代も変わらない。気合い十分の男性陣が前のめり気味で聞くと、恭子が遠慮がちに答える。
「体力勝負なところもありますが、慣れますよ。実は今朝パリから帰国したんですけど、この通り元気ですし!」
すると、隣に座る遥香もそれに続く。
「でもさ、パリ便往復は意外にキツイよね。だからかな?ちょっと恭子が疲れているように見えたのは。肌荒れしているのも、珍しくない?」
そう言いながら、遥香は恭子を心配そうに覗き込む。
「バレちゃった?そうなんだよね、ちょっと疲れが溜まっているのかも」
「勤務中は濃いメイクをしているから、私は普段はファンデーションとかも塗らないけど...恭子はプライベートでもきちんとお化粧してるから、ちょっと薄めにしたら?」
目の前で二人は、キャッキャと楽しそうに女子トークをしている。太郎から見れば恭子の肌荒れなんて全く気付かぬレベルだが、女子には女子なりの基準があるのだろう。
類は友を呼ぶ、とはよく言ったものである。やはり可愛い子と出会うには、可愛い子に食事会を主催してもらうに限るなぁ、なんて呑気に考えながら、太郎はビールを飲んでいた。
そんな中、恭子の質問に、男性陣は意気揚々と答える。
「男性陣の皆様は、何のお仕事をされているんですか?」
「僕たちは証券会社だよ」
「え〜すごい!エリートですね!…恭子、良かったじゃん!」
遥香は嬉しそうにそう言って、肘で恭子をつつく。
「え?恭子ちゃん、もしかして証券マン好きなの?すごいピンポイントだね(笑)」
「好きというか、前に好きだった人が証券マンで・・・。がっついているみたいで嫌ですよね(笑)」
そんなことはない。好きと言ってもらえて、嬉しい限りである。
「恭子、可愛くないですか?こんな可愛くて性格も良いのに、なぜか男運がないんですよねぇ...太郎さん、恭子とかどうですか?可愛いと思うんですけど」
「そうなの?意外だね。こんなに可愛いのにもったいない。可愛すぎて、普通の男は気後れしちゃうんじゃない?」
たしかに恭子は可憐で可愛らしく、男ウケ抜群な感じがする。
太郎以外の男性二人も、恭子に彼氏がいない理由を色々と聞き出そうとし、質問攻めしていた。そんな様子を見ていた遥香が、更に後押しをする。
「ほらね!私なんかより恭子は親しみやすい感じもするし、絶対いい奥さんになると思うんだけどな〜。
おっとりした雰囲気とは裏腹に、地方出身だからいい意味でハングリー精神もあるし、旦那さんのモチベーション上げてくれそうじゃない?」
「たしかに、恭子ちゃんはいい奥さんになりそうだよね!」
こうして夜は更けていき、太郎の友人は恭子に狙いを定め、そして太郎は遥香と連絡先を交換したのだった。
この記事へのコメント
今後更なるイヤなタイプの女たちを紹介してください!いるいる!こんなヤツ!って便乗してコメントしたいです(笑)
呼び出して細かくご説明してくる精神も恐ろしい…