あなたが港区界隈に住んでいるならば、きっと目にしたことがあるだろう。
透き通るような肌、絶妙にまとめられた巻き髪。エレガントな紺ワンピースに、華奢なハイヒール。
そんな装いの女たちが、まるで聖母のように微笑んで、幼稚園児の手を引く姿を。
これは特権階級が集う秘められた世界、「港区私立名門幼稚園」を舞台にした、女たちの闘いの物語である。
麻布十番在住の菱木悠理は、作家の夫・邦彦のたっての願いで、仕事を辞め、娘の理子を名門幼稚園に入れることになった。
しかし初日から、異世界に来てしまったことに気が付き、呆然とする。
そして麻布・白金グループランチ会が、会員制の東京アメリカンクラブで催され、役員を引き受けるよう仕向けられた悠理。初仕事は運動会だが―。
「不思議…なんなのこの運動会…」
悠里は放送室から見える光景に衝撃を受けた。そこには園児がずらりと並んで、母親のことを振り返ることもなく背筋を伸ばして先生の話をきいている。
「悠理さん!カウント見て!この曲が終わったら退場の音楽よ。遅れたらどうするの?」
「あ…はい......
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生まれ変わっても関わりたくない!