平塚くんとの、恋の結末がどうなったか?
そんなの言うまでもなく、皆さんの想像通り。
結局、私も恵美も件のイベントサークルには入らなかったし(無難なテニスサークルの幽霊部員となった)、見た目も中身も地味な私が、学年一のモテ男と付き合えるわけがない。
平塚くんのことはキャンパスの中庭で時々見かけたけれど、いつもたくさんの華やかな男女に囲まれている彼を、私は遠巻きに眺めるだけ。
…あの時のことを、彼は覚えてもいないだろう。
そう思うと胸がぎゅっと苦しくなるが、彼の愛らしい笑顔を見ることができた日は、それだけで幸せな気分になれた。
しかしそんなささやかな幸せも、長くは続かない。
あれは、風が急に冷え込んだ冬の始まりだった。
語学のクラスに遅刻しそうになり、人気のない裏道を走っていたとき。隠れるように抱き合っていた男女が、私の足音に気づいてこちらを振り返った。
「あ」と声をあげた瞬間、胸に刺すような痛みが走り、私は無意識に立ち止まってしまう。
そんな私に、気まずいような照れたような表情を向ける男は…紛れもなく平塚くんだった。
そして彼が宝物のように抱き寄せている相手は、思わずハッと息を飲むほどの輝きを放つ、まるで女優かのように美しい女性。
−なんだ。平塚くんも結局、見た目なんだ。
世の中の男という男が美人に弱いことくらい、とっくの昔に知っていた。
けれど平塚くんだけは、他の男とは違うような気がしていた。彼は見た目で人を判断しない。こんな私にも、優しく笑いかけてくれる素敵な人だから…。
もちろん、彼が実際に見た目で彼女を選んだかどうかなんて、わからない。しかしこの時の私は、そうでも思わないと消えて無くなってしまいそうだった。
そして目の当たりにしてしまった残酷な現実は、私の脳裏に焦げ付くようにいつまでも残り、時が経つにつれ、次第にある考えを形成していったのだ。
−私も美しくなれば、彼に選んでもらえるかもしれない−
この記事へのコメント
美人は得をしやすいのは本当だと思います。そりゃキレイな人と一緒にいたいだろうから。
でもそれ以上に、卑屈にならず明るくニコニコしてる人が一番!と生きてきた中ではそう思います。
美人だから得する事はあっても、世の中そんなに甘くないよ。