恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.12

夫の浮気を見抜いた妻の執念。ホテルのロビーで4時間待ち続けた女が目にした、怒りの光景

反撃、開始


“実家で、至れり尽くせりしてもらってます🎵”
“でもそろそろ、廉に会いたくなっちゃったな”

金曜、23:00。

私は廉にそうLINEを送り、既読になるのをひたすら待った。

しかし予想どおり、なかなか既読にならない。

…この一分一秒にも、廉とあの女はこの高級ホテルのベッドで抱き合っているのだろうか。

そんな想像をしては、胸を残酷に抉る痛みと戦った。私はもはや発狂寸前であり、呼吸をすることすら意識しないと忘れてしまうほどの興奮状態にあったのだ。

私はここ、リッツ・カールトン東京のメインロビーに、かれこれ4時間近く居座っている。

20時を少し過ぎたころ、廉がひとりでチェックインする姿は確認済みだ。しかし肝心の、相沢里奈が現れない。

いや、すでに現れたのかもしれないと、私は苦々しい思いで記憶を遡る。

彼女の顔を忘れることはないが、例えばサングラスやキャップで変装をしていた場合、遠目で判別できなかった可能性は大いにあるのだ。

私の目的はただ一つ。相沢里奈に制裁を加えること。

そのために、彼女が今夜、廉が宿泊しているリッツ・カールトン東京を訪れたという証拠を手に入れたい。…どんな手を使ってでも。

胃液とともに湧き上がる憎悪をこらえながら再びLINEをチェックすると、先ほどのメッセージが既読になっていた。

相沢里奈との薄汚れた関係に溺れる廉は、大切にすべきはずの妻から届いた“会いたい”というメッセージを、いったいどんな思いで受け取るのだろう。

罪悪感と後悔で、存分に苦しめばいい。そうしてどうしようもなくなれば、廉は私の元に戻ってくるに違いないと思った。

「廉。早く、目を覚まして…」

まるで呪いのごとく低い声で呟いた、その時だった。


早足で、まるで逃げるようにしてメインロビーを横切るひとりの女が現れたのだ。

−相沢里奈…。

その姿が目に入った瞬間に私が抱いた感情といえば、この世に存在する、ありとあらゆる怒りの言葉をかき集めても足りないほどだった。

髪は乱れ、化粧も落ちてしまっているのに、どういう......


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