2018.09.13
フレンチ、中華、和食…。食のジャンルはいろいろあるが、つまるところ美味しければジャンルなんて関係ない。
今回紹介する、こちらのレストランはまさにノンジャンル。見たこと、味わったことのない料理を提案してくれる。
メインディッシュで提供される肉料理にしても、見た目は完全にステーキだが、その味わいはすき焼きという意表をつく一品。
このようなオリジナリティ溢れる料理が終始つづくのだ。“美味しければ何でもアリ”。そんなコンセプトを掲げた広尾の新しきレストランの魅力を探る!
北海道の新生が既視感なき斬新メニューを広尾で提案!
『長谷川 稔』
2017年5月某日…。この日は、料理人長谷川 稔氏にとって、生涯忘れえぬ記念すべき一日となった。
6年前、彼が北海道江別で始めた『リストランテ薫』が、「ミシュランガイド北海道2017年特別版」にて、念願の星を獲得したのだ。
修業らしい修業は一切せず、まさに無からの創造。独学ながらも、北海道で一番のレストランになってやろうと死ぬ気で踏ん張った努力が、ようやく報われた瞬間だった。
そして、それはまた、更なる一歩を踏みだすための転機でもあったのだ。
かくして、長谷川シェフが満を持しての東京進出を果たしたのは、今年の4月16日。北海道の店を閉め、新たな挑戦の場に選んだのは広尾。
有栖川公園のすぐ近く、民家をリノべーションした一軒家レストランとして、人知れずオープンした。
「僕の料理にジャンルはありません。フレンチでもイタリアンでもない。言うなれば“長谷川 稔”の料理。求めているものは“オリジナリティ”です」きっぱりとそう言い切る長谷川シェフ。
その強い意志は、店名からリストランテを取り去り、ただの『長谷川 稔』だけにしたことからも、十分に伝わってくる。事実、長谷川シェフの素材へのアプローチ、調理法はかなり独特。しかも、皿の上は限りなくシンプルだ。
しかし、その裏には、気の遠くなるような手間と時間が費やされている。
例えば、写真の真魚鰹。一見、さっと焼いただけのようだが、実は、一度藁焼きにしてからコンフィにし、更に炭火で皮目をパリパリに焼き上げた後、その皮は取り除いて、代わりに牛蒡と人参のフライをのせるといった按配だ。
コンフィに使う脂も、鴨の脂ではなく鶏との相性がいいからと鶏油を用いる自在ぶり。すべては、素材の持ち味をいかにクリアに引き出すかに集約した結果、辿り着いたものだ。
修業に入る代わりに有名レストランを食べ歩いて舌を磨く中、目標としたのは『カンテサンス』。岸田周三シェフの哲学を見本に、料理を化学的に把握すべく専門書を読み込んだ。
最初は、火入れからトライし、味つけやバランスの取り方も研究。そして、現在は食材も厳選。カリスマ漁師の藤本純平氏が手当てした神経締めの真魚鰹や鰆、永田農法による北海道余市の中野フォームから取り寄せる力強いトマト等々。
自ら産地に足を運び、その目と舌で納得したもののみを使う徹底ぶりだ。“長谷川 稔”の料理、それは調理場という現場で、彼自身が切り拓いてきたセオリーから生まれたものに他ならない。
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長谷川 稔
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