ダディ Vol.2

「妻にはバレない」は、絶対ありえない。40代男を窮地に陥れた、若い美女からのメッセージとは

やんわりと恐ろしい、妻の怒り


バタン、と重い扉が閉まるか閉まらないかのうちに朋美は硬い声を出した。

「リョウくん、ちょっと」

ちらりと後ろを振り返ると、無表情、いや感情を押し殺した朋美がこちらを睨んでいる。

思わず「ハイ」と答え、促されるままテーブルに近付く。そして、向かい合わせに座らされた。

朋美はリョウのスマホをすっと取り出し、無言で操作を始める。

「これは、どういうことなの。このハルカとかいう女は、一体どこの誰?」

思わず全身が粟立った。

ーこれはヤバイ、ヤバすぎる。

だが次の瞬間、なぜだ?という疑問が浮かぶ。

確かに連絡先は交換したが、ハルカからのメッセージは消去したはずなのに…!


「いや、誤解だよ。誤解っていうか、違うんだ。昨日四郎ちゃんと飲んでた時、たまたま隣に座ってきてさ。俺、ほんとどうでもいいと思ったし、ほら、メッセージに返信とかしてないだろ?」

狼狽するリョウに動じず、朋美は両手を前に組みながら「へぇ…」とだけ呟く。

長い沈黙だった。

窓の外では、蝉が思い切り鳴いている。

思わずLINEの画面を確認すると、ハルカがあれから何件かのメッセージをリョウに送っているのが目についた。内容はいずれも、シラフの状態で妻の目の前で読むと恐ろしいものばかり。

ーそれにしても、リョウさんって本当42歳には見えないです!
ーあ、あと、沢山褒めてくれて、ありがとうございました❤︎お話も面白かったし、今度は是非2人でお食事に行きたいなぁ❤︎

可愛らしいキャラクターのスタンプが虚しく動いていた。

とにかく、最悪な誤解だけは避けたい。妻の目の前でトーク画面を削除し、言われるがままハルカの連絡先も消去した。

リョウはしっかりと朋美に向き直る。

「朋美。俺がどれだけ君や美優を大事にしているかは、分かってくれてるよね?俺は絶対に家庭を壊すようなバカな真似はしないし、誤解を解くためなら何でもする。本当に、誓って何もないんだから」

そのとき、朋美の目に少しだけ感情の色が戻ったのを、リョウは見逃さなかった。一気にたたみ掛ける。

「心配なら、今日から夜、飲みに行くのもやめる。俺のスマホもいつ見たっていい。そうだ、今日これからランチにでもいくか?久しぶりに」

「いや、別に私今日仕事だから無理だけど…」とぶっきらぼうに答える朋美の表情からは、こちらを寄せ付けないほどの怒りは消えていた。

だが、言葉を尽くし妻の誤解を解いたかのように見えたリョウに、更なるトラブルが襲いかかることになる。

この記事へのコメント

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No Name
旦那の稼ぎが良くなっても贅沢しない妻は得難い存在です。
金目当ての若い女にチヤホヤされて浮かれてないで、奥さん大事にしないと‼️
2018/08/12 06:2699+返信5件
No Name
さあて、若い女の子に浮かれてる場合じゃないね、どうする?
2018/08/12 05:3381返信6件
やっちゃったよ…
LINE交換した時点でアウトなのに…

社長としての器が無さすぎ…優秀な人に支えて貰っているのを解らないなんて…残念過ぎる。
主人公は物事を軽くしか捉えない思考の持ち主なら、この先は落ちて行くだけだろうねぇ。

私はリョウが必死に言い訳しているしか思えない。
2018/08/12 07:0277返信8件
No Name
リョウ、いいパパ。うちの24時間365日酒浸りだった父親とは大違い。こんな父親いるのかな。こんな風に育てられたかった。
2018/08/12 06:2524
No Name
なんか似た話が多いな〜
次は奥様がパーティーやって引き止め作戦でもやるのかな?
2018/08/12 08:4817
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