デスパレートな2人 Vol.3

ヤリ手創業者vs保守的な社長の派閥争い。社内派閥に巻き込まれ、歪み始めた2人の愛

―社内恋愛―

会社員なら誰しもが一度は経験するであろう、秘密の恋。

毎日会えて、仕事のことも分かりあえる。もしかしたら普通の恋より、濃密な関係が築けるのかもしれない。

しかし…。

時にその濃密過ぎる関係が、残酷にも2人を切り裂くきっかけにもなりうる。

これは、ある会社で起こったリアルな“社内恋愛の悲哀”であるー。

同じIT企業で勤務する、総務部吉田結衣(28)営業部のエースで効率重視の斎藤健(32)。

健からの告白を受け、結衣と健は社内恋愛を始めるが、なかなか会えない日々が続くため、付き合って1ヶ月、効率的に会うためにと同棲する

こうして幸せいっぱいの同棲がスタートしたが、一方会社では、会長vs社長の派閥争いが始まった。


―私たち、これからどうなるのだろう…。

結衣は席に戻ってからも仕事が手につかず、ただパソコンの画面をボーっと眺めていた。

会長から、現役員への“ある要求”が発表されたのは、ほんの10分前のこと。

その“要求”というのは、会長が社長宛に送った書面により発覚した。今年の株主総会も例年と同様、「現役員が続投する」という提案に対し、何事もなく採決されるはずだった。

しかし、その採決を会長が妨げようとしているのだ。

書面によると、役員人事に対する修正動議を起こすという。その内容は、思わず耳を疑うような、衝撃的なものだった。

―会長を社長に戻すこと、そして現社長を含む現役員を全て交代させよー

しかも資本提携している株主の企業に、その修正動議に賛成するよう、既に根回しは済んでいるという。

票数としては過半数以上になるため、実現すればこの修正動議は可決されることになる。

経営陣が変わることは不安だが、結衣は何よりも、会長に関する“ある噂”が気になっていた。


チラリと人事部の奈央を見ると、奈央もまたキーボードに置かれた手が動いておらず、仕事が手についていないようだ。

すると、奈央が結衣の視線に気づいた。

奈央はモニターを指差す。どうやら結衣にパソコンを見ろとジェスチャーしているようだ。

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