あの名門ホテルに魅せられて30年！ハワイを「第二のふるさと」と豪語する熟年夫婦の、人生の岐路(3/3)[東京カレンダー

浅丘さんが異変に気付いたのは、経営者であるご主人が会社を後任に託し、一線を退いたころからだそうだ。

これまで家族みんなで計画していたハワイ旅行についても、あまり乗り気ではなさそうで、どこかよそよそしかったらしい。

「変だとは思ったのよ？でもね、もう20年間も秘書をやってくれてた女の子とそういう仲だったなんて、気が付かなかったわ。」

ご主人曰く、愛娘を一人前にするまでは離婚しないと決めてたらしく、昨年までは行動を起こさなかったと説明を受けたという。

「毎年毎年、私がハレクラニで心の洗濯をしている間中、主人は罪滅ぼししている気になってたんでしょうね。」

心の内を吐くようにポツリと呟き、アイスティーを一気に飲み干す。

「会社にって毎年買っていたパンケーキミックス、一体誰のお腹に入ったのかしらね。あれは、私が美味しいって主人に教えたのよ。私をバカにして！」

そんな浅丘さんは、彼女なりの方法で彼に小さい仕返しを仕掛けたらしい。

「悔しいから、チェックアウトする時に来年の予約をさせたわよ。主人と来るか、ひとりかはわからないけど、いいの。だってハレクラニは私の実家のようなものでしょ？おかえりって言ってくれる人がいるんだもの。」

現在浅丘さんとご主人は協議中で、彼女は愛犬たちと共に、元々所有していた近所のマンションに住んでいるそうだ。

ハレクラニに憧れて揃えたハワイアン家具はマンションには入り切らず、泣く泣く手放したらしい。

「だって主人だけが毎日ハワイに囲まれて過ごせるなんて、シャクじゃない。」

何も捨てることはないんじゃないかと聞いた私に、彼女は舌をぺろっと出しながらそう答えた。

ハワイに魅せられ、ハレクラニに心奪われた浅丘さん。

ご主人の心を取り戻せたかどうかは、年末のハレクラニで明らかになるであろう。

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そんな浅丘さんのお知り合いに、面白い人がいるというので詳しく聞いてみた。

「このマンションの一番上に住んでる若いご夫婦なんだけど、私とワンちゃん友達なのよ。素敵なお車に乗ってて、毎日お出かけしてるわ。そうそう、なんのお仕事していらっしゃるかわかったら、こっそり教えてね。」

タワーマンションの最上階に住み、素敵な車を乗り回す、正体不明の若い夫婦。

聞くだけで香ばしい香りがするではないか。

次週、またひとつ、素敵なコレクションが加わりそうだ。

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タワマン最上階の若夫婦、一体何者なのか？！