2018.07.21
SPECIAL TALK Vol.46「悔いのない人生を送りたい」という思いが挑戦と成功の原動力
金丸:2011年の東日本大震災後は、精米事業にも参入されますね。
大山:東北が拠点ですから、東日本大震災はいろいろなことを考え直す契機になりました。当社のマーケティングコンセプトを「快適生活」から「ジャパンソリューション」に事業の幅を広げることを意識し始めたのも、震災がきっかけです。
金丸:日本の課題にチャレンジしようという決意の表れですね。
大山:その通りです。まずは節電を進めるために、消費電力が少ないLED照明の開発にこれまで以上に力を入れました。そして、東北の復興には米は欠かせないということで、精米事業に乗り出しました。
金丸:米の品質に厳しいコンビニ業界が、アイリスオーヤマの米に切り替えたと伺いましたが。
大山:ありがたいことです。うちの一番の特徴は、低温製法なんです。米は精米の過程で起きる摩擦熱によって熱くなります。でも米に含まれるアミラーゼといううまみ成分は、40度を超えると劣化してしまいます。だからうちの工場では、倉庫も工場も室温を15度に保ち、精米で熱が発生しても30度程度に抑えられるようにしています。
金丸:うまみを損なわないから美味しいんですね。
大山:個人向けに販売している米も、パッケージに劣化を防ぐ工夫をしています。ふつう米は空気穴の空いたビニール袋に詰めますが、うちは密封パッケージを使用し、脱酸素剤も入れています。
金丸:そうなんですね。最近では、アイリスオーヤマの炊飯器にも驚かされました。おひつの部分とIHヒーターの部分が分かれるので、それ
ぞれ別の調理器具として使えたり、米の銘柄ごとに最適な水の量を教えてくれたり。これまでの家電メーカーにはまったくない発想ですよね。
大山:大事なのは、目線です。たとえば「富士山を描いてください」と言うと、ほとんどの人は横から見た富士山を描きます。でも上から見ると、富士山はまん丸。静岡から見るか、山梨から見るかによっても姿、かたちが変わります。そうやって目線を変えれば、ちょっとした不便なことはいくらでも見つかります。
金丸:なるほど。
大山:実はあの炊飯器を開発したのは、元大手家電メーカーの技術者たちなんです。国内のメーカーが業績不振で技術者を大量に放出しました。僕はその技術者たちを何とか助けたいと思い、アイリスオーヤマに迎え入れたんです。
金丸:そうだったんですか。
大山:最初に募集したとき、「仙台に来てくれ」と言っても、ほとんどの方が快い返事をくれませんでした。家電メーカーの工場は関西に集中していたので、住み慣れた土地を離れて単身赴任するのは抵抗があったようで。そこで大阪に開発拠点を作ることにしました。
金丸:技術者がどうしたら安心して働けるかを考えるというのは、ユーザーインと同じ発想ですよね。大山さんは、それが徹底しています。
大山:働く人たちを優先しただけです。おかげで今面白いですよ。かつて競合だったメーカーの技術者たちがワイワイガヤガヤするから、いろんな商品が出てきます。
金丸:大山さんは大学進学を諦めて、お父様の跡を継がれました。最初は自分の意思ではなく天命のようなスタートでしたが、その後は一生懸命に事業に打ち込み、ビジネスモデルを変えながら、たくさんのチャレンジと失敗を経て、ここまでの大企業に育てられました。それができたのは、いったいなぜでしょう?
大山:答えはシンプルです。「人生は一回しかないんだから、悔いのない人生を送りたい」。これだけです。だから、いくつになっても仕事に夢中でいられる。僕の半生を話すと、「大変なご苦労をされたんですね」とよく言われます。もちろんしんどい時期もあったけど、嫌な上司はいないし、自分のやりたいことをやることができた。自分自身はいつも納得した上でやっているから、苦労とは思っていないんです。
金丸:今、日本でも起業する若者が増えていますが、一方で安定を求めて、挑戦することを避ける人も大勢います。地方の国公立大学では、就職先に県庁よりも転勤のない市役所を選ぶ人が多いと聞きます。
大山:今の教育というのは、失敗させない知識を教えている。知識が詰まれば詰まるほど、できない理由を考えてチャレンジしようとしません。でも後ろ向きになってはダメです。ポジティヴに考えないと。人生は一回しかないのだから。
金丸:悔いのない人生を送るには、三振を恐れず、フルスイングすることも必要です。大山さんの人生はまさにそうでした。大山さんの生き様を知った若者たちは、きっと奮起してくれることでしょう。今日は本当にありがとうございました。
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