ノリオとジュリエット Vol.5

3年ぶりに京都へ戻った元カノと偶然の再会。“普通じゃない”人生を送る美女の、光と闇

ゲーム機器メーカーの京都本社に勤める一ツ橋紀夫(ひとつばし・のりお)は正真正銘の庶民。

“普通”で平凡な日々を送る紀夫だったが、食事会でどこか謎に包まれた美女・萬田樹里(まんだ・じゅり)と出会う

ドライブに出かけたふたりは急速に距離を縮めるが「家まで送る」という紀夫を、樹里は頑なに拒否。

脈ナシだと落ち込む紀夫だったが、樹里から再びデートの誘いが。しかも樹里から大胆なアプローチを受け、紀夫の部屋で一夜を過ごす

しかし翌朝、ふたり一緒に出かけたカフェで、紀夫が3年前に別れた元カノ・一二三薫とばったり再会。こんがらがっていく、三者の関係…。


3年ぶりの再会


「まさかこんな所で会うなんて。そういえばここ、昔よく一緒に来たなぁ」

紀夫の腕をナチュラルに掴みながら、薫は無邪気に笑う。

ふたりには3年の空白があるというのに、紀夫を置いて上京したのは薫なのに、彼女の振る舞いは付き合っていた頃とまるで変わらない。

しかし細身のデニムに合わせたヒールや、無造作にまとめた髪、外したサングラスを引っ掛けた胸元から匂い立つオーラが昔と違う。

彼女は明らかに、洗練されていた。

「紀夫さん…?」

背後から樹里の声がして、紀夫はハッと我にかえる。

すっかり薫に気を取られていたら、買い物を終え、両手いっぱいにパンを抱えた樹里が不安そうにこちらを見つめていた。

その視線の先には、紀夫の腕を掴んだままの薫がいる。

「あ…私、ここでもう大丈夫やから。行くね」

遠慮がちに小さくそう言うと、樹里は「じゃあ、また」と紀夫に背を向けてしまった。

きっと、勘違いをしている。しかし慌てて追いかけようとしたら、薫がその腕にぐっと力を込めた。

「ねぇ、もしかして…紀夫の彼女?」

咄嗟の質問に思わず「え?いや…」と呟くと、薫は言葉の続きを遮るように続けた。

「なワケないか。だって…」

言いかけて、急に口ごもった彼女に怪訝な顔を向けると、薫はさっと表情を変えた。

そしてお得意のパーフェクトな笑顔で紀夫を見上げるのだった。

「ううん、なんでもない♡」

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