年収1,000万の女 Vol.1

35歳、年収1,000万円。ラグジュアリー業界に生きる外資系ブランド女子のリアルライフ

靴、バッグ、時計のコレクションに圧倒されていると、真理亜さんはにっこりと笑顔を浮かべ、説明してくれた。

「この業界で働いていると、会社や役職によっては、年俸とは別に、自社製品を購入できる枠が一定額与えられることもあるんですよ」

ブランドの責任者として一流の顧客に対応するという立場柄、身につけるものには最大限に気を遣う必要があるという真理亜さん。

ファッションにお金を惜しまないことも、ブランドの鏡として活躍するのに必要な条件だということかもしれない。この豪華なラインナップにも、仕事への根性が垣間見える気がしてくる。

また、靴や普段使いのバッグは自身の給与から買っているが、時計やエルメスについてはご両親がお祝いなどのプレゼントとして購入してくれることが多いのだとか。

現在住んでいるという43平米の1LDKの部屋も、ご両親が3割ほど家賃を負担してくれているそうだ。

「一人っ子で実家が長かったせいか、両親がすっかり過保護になってしまって(笑)。父と母には本当に感謝しています。両親との仲もとてもいいんですよ」

幸せな表情を浮かべる彼女は、キャリア女性として働く芯の強さを感じさせるのと同時に、裕福に育てられたお嬢様ならではの気品溢れるオーラも放っている。

では、いかにして仕事での成功を手に入れたのだろうか。

転職ごとに年収アップ!その理由は妥協しないこと

胸元にはヴァン クリーフ&アーぺル


ラグジュアリーブランド業界は、金融やマスコミとは異なり、年収1,000万円以上の役職につく人間はひと握りという世界だ。

真理亜さんが、業界の中の“ひと握り”になるまでには、どんな道のりがあったのだろう。

「適切なタイミングで転職をしたのが、良かったのだと思います。もしも今も1社目にいたなら…同じ年齢でも年収800万くらいにおさまっていたかもしれません」

順調に積み重ねてきた彼女のこれまでのキャリアをシンプルに説明するならば、有名私立大学を卒業後、新卒で1社目のラグジュアリーブランドに就職。

店頭での販売職を経て、その後本社勤務に。12年間勤務した後、2社目へ移り、今年から3社目となるブランドに転職。

これが真理亜さんの経歴だ。聞くと、「転職する度に年収が20%、30%と、どんどん上がっていった」のだという。

「転職にはやはりリスクが伴いますよね。新天地での人間関係や仕事内容が必ずマッチするかは、行ってみなければわからないですし。でもだからこそ、お金という揺るがない部分でどれだけ納得できるか。そこが大事だと思うんです」

それゆえ真理亜さんは、絶対に提示額を下回る条件での転職はしてこなかったという。

タワーマンションからは東京タワーが


「条件が噛み合わずに白紙になったこともありますよ。でもそれは縁がなかった、と割り切っています。

多くの人は、まず自分の希望額を伝えて、会社が多少歩み寄りを見せてきたら、それでOKしてしまうのでは? きっと、“もうオファーしてもらえないかも…”と、不安になるからですよね。

でも、不満の残る金額で妥協したら、新天地でうまくいかないことが出てきたときに、拠り所がなくなってしまう。その点、金額にさえ納得していれば、“嫌なことはあるけど、この給料だし!”と思えますよね」

交渉下手な日本人からすると、なんと明快な答えだろう。

ところで、業界内での転職者が多いとされるこの業界で、彼女がここまで順調にステップアップできた秘訣とは?

「“自分の武器”を知ること。転職の際は、その武器をどれだけアピールできるかに尽きますね。私の場合は、これまでのキャリア人生で手に入れた“人との繋がり”が一番の武器。

業界内でのコネクションももちろんありますが、それより、数多くのVIPのお客様と信頼関係を築いてこられた、ということが私自身の強みです」

ラグジュアリーブランドのVIP顧客たちはまさに上流階級の人々。彼らと信頼関係を築くのは決して容易なことではないだろう。

その経験が、業界内の転職市場で彼女が“引く手あまた”となった理由だと言って間違いなさそうである。

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