愛しのドS妻 Vol.2

愛しのドS妻:夫の不実を知った妻の逆襲。後悔しても遅い、“出来心”の大きすぎる代償

−可愛かった妻は、どこに消えた?–

昔はあれほど尽くしてくれたのに。あんなに甘えてくれたのに。

いつの間にかドSと化してしまった妻に不満を抱く既婚男性は、きっと少なくないはずだ。

青山でイベントプロデュース会社を経営する、平野貴裕(ひらのたかひろ)・35歳もそのひとり。

妻である華(はな)とは大恋愛の末に結ばれたはずだが、結婚後5年が経ち、その夫婦関係は随分と冷え切っていた。

およそ半年前、ほんの出来心から取引先の奈美子と不倫関係に陥った貴裕。

すでに関係は解消していたが、別れ際に奈美子から渡された手紙を、あろうことか華に見つかってしまう


一睡もできず迎えた朝は、体中の細胞が死んだように重い。

貴裕はどうにか気力だけで起き上がると、そっとあたりの様子を伺った。

静かに耳をすませてみると、キッチンで湯を沸かす音がする。

−彼女もまた、眠れぬ夜を過ごしたのだろうか。

そう思うと、胸が締め付けられそうだ。とはいえすべて、身から出た錆だが。


「華、本当にごめん」

謝って許されるとも思えないが、他にできることもない。

貴裕は寝室を出るとすぐにリビングへ謝りに向かったが、華は一度もこちらを見ようともしない。

大理石のダイニングテーブルでコーヒーを啜る彼女は、ラベンダー色のキャミソールワンピースを着ていた。

細く伸びる腕に、無造作なままの長い髪がサラサラと揺れる。

その隙間から覗く、透き通るように白い肌。

「ごめん、華」

貴裕は吸い寄せられるようにして彼女に近づき、そっと肩に触れようとした…その時だった。

「触らないで!」

差し出した手に痛みが走り、貴裕は自分が妻に拒否されたことに気づく。

「汚い。気持ち悪い。もう二度と、私に触らないで」

嫌悪をあらわにした妻に吐きかけられた、信じられない言葉。

そのときようやく貴裕は、起きてしまった事の重大さに気がつくのだった。

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