リスクを嫌う男 Vol.13

リスクを嫌う男 最終回:「結局、理屈ではない」拗らせ保険営業マンの結婚観を変えた、ある出来事

−保険プランニング−

そのとき、人間の本性が自ずと露わとなる。

三上保(みかみ・たもつ/30歳)は、外資系保険会社の保険プランナー。

垣間見える男女の闇に「結婚は最大のリスクである」と考えを拗らせていく保だが、運命の出会いは突然やってくる。

小悪魔美女・美里に心奪われる保。が、彼女は貯金0円の浪費女だと判明。しかし意外な素顔を知るにつれ内面にも惹かれていく。

契約成立後も次々と保に顧客を紹介してくれる美里。富山にいる彼女の両親も紹介してくれるが、なんと保険商談中に熟年離婚の危機が勃発。

動揺する保をよそに、美里は意外にも涼しい顔。

「男を上げる女」と周囲からも評判の彼女は、両親を説得して離婚危機を回避。

さらには保のために年金商品の契約までプッシュしてくれたのだった。


自立した妻


「では、次回はいくつか具体的にプランを用意してきます」

六本木の高級マンション。

30畳は超えているだろう広いリビングで、保は向かいに座る女性に頷いてみせた。

原井美里の紹介で商談にやって来たのは、彼女の大学時代の先輩だという、ともに外銀勤めのセレブ夫妻。

しかし指定された20時に自宅を訪れてみると夫の姿はなく、保を迎えたのは妻・鳥居礼子だけだった。

礼子は妊娠を機に退職しているが、父親が経営する会社の役員に名を連ねているとかで不労所得があるらしい。

今回保が呼ばれたのも鳥居家の資産形成の話ではなく、完全に礼子個人のニーズによるものだった。

「美里ちゃんに紹介してもらえてよかったわ。子どものために、しっかり備えておきたくて」

淡々と希望を話す彼女は、非常に凛としていて美しい。

…しかし保は、彼女のその声や表情に、どこか冷たい印象を受けた。

「基本的に家計は夫に任せてますが、私は私で別に資産を作っておきたいの。今はお互い良い関係ですけど…」

そして彼女は、一度口を閉じる。

一瞬、何かを考えるように目を動かしたあと、礼子は再び淡々と続けた。

「でも今後どうなるかは…正直、わからないでしょ?」

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