リスクを嫌う男 Vol.10

リスクを嫌う男:夫の昇進に大きく貢献した美人妻が語る、“男を上げる”女の条件

−保険プランニング−

そのとき、人間の本性が自ずと露わとなる。

三上保(みかみ・たもつ/30歳)は、外資系保険会社の保険プランナー。

垣間見える男女の闇に「結婚は最大のリスクである」と考えを拗らせていく保だが、運命の出会いは突然やってくる。

小悪魔美女・美里に心奪われる保。が、彼女は貯金0円の浪費女だと判明。しかし意外な素顔を知り、内面にも心惹かれていくのだった。

石垣出張から戻った保は、美里の契約を成立させ、ついに初めて一緒にディナーを楽しむ

さらに彼女は次々に保に顧客を紹介してくれ、富山にいる美里の両親にも会いに行くことに。しかしそこで保は、熟年離婚の危機に遭遇してしまう。


思いがけぬ反応


富山から戻った翌日、保はお昼休みを狙って美里に電話をかけた。

「先日、ご実家に伺ってきたんですが…」

そう切り出して、言葉に詰まる。

…まさか、こんな展開になってしまうとは。

美里が自分の両親を紹介してくれ、保は彼女からの信頼(保険プランナーとして、ではあるが)を確信し、小躍りしたい気持ちで富山へ向かったというのに。

「さっそくありがとうございます!」という美里の声が明るければ明るいほど、保は胸が締め付けられる思いがするのだった。

「…どうでしたか?」

美里からの問いかけに保はいよいよ意を決し、ことの顛末を告げることにした。

「実は…お父様がつい先日、会社を退職されたそうで。パン屋さんを始められるそうです。お母様は何も聞かされていなかったようで…かなり戸惑っておられましたが」

「…は?パン屋?」

美里が驚くのも、無理はない。

なんせ保も美里の母も、その言葉の意味を咀嚼するにはかなりの時間を要したのだから。

しかし予想に反し、美里は突然、大きな笑い声をあげた。

「あはは!お父さん、見直したわ!父って面白いことも言わないし、無口でただただ真面目で…この人、そんな人生で本当に楽しいのかしらって私、思ってたんです。

パン屋ってのがかなり意外ですけど(笑)。でも嬉しい、お父さんにもやりたいことが見つかったんですね!」

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