リスクを嫌う男 Vol.6

リスクを嫌う男:庶民が“東京人生ゲーム”でもがくことに、意味はあるのか?

−保険プランニング−

そのとき、人間の本性が自ずと露わとなる。

三上保(みかみ・たもつ/30歳)は、外資系保険会社の保険プランナー。

新婚夫妻の闇清純な妻の秘密などを目撃するたび「結婚は最大のリスクである」と考えを拗らせていく保だが、運命の出会いは突然やってくる。

どストライクな小悪魔美女・美里に心奪われる保。が、彼女は貯金0円の浪費女だと判明。

しかし彼女の意外な素顔を知り、その内面にも心惹かれていくのだった。

今回、リゾートホテルを経営する橘に呼ばれ石垣島へやってきた保は、休暇を満喫する気満々。しかしながら、思いもよらぬ展開に…


実を結んだ縁


「ありがとうございます!橘さん!」

隠しきれぬ喜びをにじませながら、保は大きな声で礼を言った。

そして改めて、深々と頭を下げる。

「ええんや、ええんや。別に義理でやっとるわけと違うんやから」

橘は、相変わらず謎の関西弁でそう言い、ひらひらと手を振った。

彼が経営するリゾートホテルは、3月末が決算だという。思いがけず当初の予測以上に利益が出たそうで、なんと月額70万円の法人保険(いわゆる節税向けの商品である)を年払い契約してくれたのだ。

これが保にとってどのくらい大きい案件かというと、もう今月は他の契約を取る必要がない、というレベルの契約である。

橘は、保の自宅(青山)近くのバーで、たまたま隣に居合わせた男だ。

あの時彼は確か、もともと勤めていた会社を辞めたばかりだった。40代で次の就職先も未定、話を聞く限り完全に無計画で、挙げ句の果てには「俺は石垣へ行く」と言い出す始末。

この人は本当に大丈夫なのだろうかと心底心配し、保としては安否確認のような感覚で、その後も折に触れて連絡をとっていた。

それがまさか、こんな展開になろうとは。

−ああ、今夜は格別にビールがうまそうだ…。

きんきんに冷えたオリオンビールに想いを馳せる保に、橘はにやり、と笑いかける。

「ほな、そろそろいこかー。うまい店予約しといたで」

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