大阪LOVERS Vol.1

大阪LOVERS:まさか私が大阪に!?東京の“量産型女子”に舞い込んだ、西からの挑戦状



「まさか、ひかりが抜擢されるなんて、サプライズだよ!」

運ばれてきたアフタヌーンティーセットに手を伸ばしながら、弾んだ声で梨花は言う。

「ちょっと前から噂はあったんだよね、大阪は誰かが立て直ししないといけないって。」

同期の梨花とは内定者時代からの付き合いだ。

梨花が本社に異動になってからは会う機会が減っていたが、ひかりの昇格の噂を聞きつけ「本社栄転祝いしなくちゃ!」と意気揚々とアフタヌーンティーを予約してくれたのが、今や遠い昔の様に感じる。


興奮気味の梨花の話によると、大阪で現場のマネージャーを長年担当していた敏腕社員が、去年営業部に異動になり、後任がうまく適応できておらず、売り上げも目に見えて下がっているとのこと。

東京に次いで大きなマーケットである大阪の売り場をまず立てなおすため、販売員として優秀だったひかりに白羽の矢がたったということらしい。

「こんな大役に選ばれるなんて、本当に光栄なことだと思う。でも、今の状況で私が行ってもうまくできるとは思えないよ。それに、大阪には縁もゆかりもないし、…正直断ろうかと悩んでる。」

―それに、ここには隆二がいる。

28歳の女子にとって、2年付き合った恋人と離れるのは、あまりにも厳しい選択だ。

「そっか・・・。でもひかりならできると思うけどな。あんなダメダメだった私のいいところを引き出してくれて、自信がついたんだよね。それからトントン拍子で本社勤務まで、ほんと感謝してる。」

梨花は気が強く問題児と言われていたが、ひかりがインバウンド販売担当に彼女を推薦したところ外国人客に大ハマり。本社で外国人向け企画を担当するまでに出世した。

「ひかりはさ、控えめで敵をつくらないし、人の長所を引き出すのがうまいじゃない。東京は数字がいいから、だれでもできるだろうけど、大阪の今の状況を変えられるのはひかりしかいないって、そういう判断があったんじゃないかな。もちろん遠くにいっちゃうのはすごい寂しいけど…。」

いつになく真剣な口調で話す梨花の言葉に、心が揺れる。

「梨花、ありがとう。少し、落ち着いて考えてみるよ。」

梨花がほっとしたように笑顔になるのを見てから、素早く隆二にLINEを打った。

[隆二、今夜会える?大事な話があるの。]

この記事へのコメント

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No Name
no valueとかいう彼氏嫌だなー
2018/05/07 06:3399+返信15件
No Name
頑張って‼︎
と素直に応援したくなりました。
私も連休明け業務頑張りますっ。
2018/05/07 05:1499+返信9件
No Name
主人公は良さげな人なのに、彼氏はなんか変だね。
2018/05/07 06:3898返信2件
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