理想の嫁 Vol.1

理想の嫁:嫁ぎ先は経営難!?セレブ妻となったはずの元キャリア女が嗅ぎ取った、一家に隠された真実


ー女は、家庭に入って夫を影で支えるべきだ。

経営コンサルタントとして活躍していた美月のもとに、ある日突然義母から突きつけられた退職勧告。彼女は専業主婦となることを余儀なくされた。

内助の功。それは、古くから手本とされている、妻のあるべき姿。

しかし、美月は立ち上がる。

いまや、女性は表に立って夫を支える時代だと信じる彼女は、経営難に直面した嫁ぎ先をピンチから救うことができるのか?


「行ってらっしゃい。今晩のディナー、お義母さんと一緒にお店に向かうね」

美月の言葉に、夫の豊は「ありがとう、よろしく」とにっこり微笑み、玄関のドアをゆっくりと閉めた。

−パタン。

扉が音を立てて閉まるのと同時に、美月は急いで家事に取り掛かる。

午前:洗濯と掃除。その後、お礼状の執筆。
午後:夫の手土産探し、豊の実家へ。

時間や期限に追われる生活でなくなった今でも、美月は、毎朝その日のスケジュールを立てて効率的に動いてしまう。

経営コンサルタントとして働いていた、会社員時代のクセがいまだに抜けないのだ。

広々としたリビングルームにダイソンの掃除機を隅々までかけたあとで、ふうっと小さくため息をついた。

美月、28歳。一橋大学経済学部を卒業した後は、丸の内にある経営コンサルティング会社に入社した。

結婚を機に仕事を辞めたのは、ちょうど1年前のことだ。

まさか自分が専業主婦になる日がくるとは、“あの日”まで想像もしていなかった。

突然の“退職勧告”を下された日の衝撃を、美月は忘れることができないのだ。



あれは、初めて豊の両親に挨拶した日のことー。

美月は、義母の言葉に耳を疑わずにはいられなかった。

「山内家の嫁は、家庭に入って夫を支えるのが流儀です。仕事はすぐに辞めてくださいね」

「え…?」

突然、結婚の条件のように出された退職勧告。それは、幸せの絶頂にいたはずの美月を奈落の底へと突き落とした。

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