花の第1営業部 Vol.5

代理店マンがキメの会食で見せた底意地。クライアントのキーマンは、こうして落とす

まるで90年代トレンディドラマの、主人公のような男がいる。

彼の名は、一ノ瀬瑛太。ニックネームは“イチエイ”。

華やかなイメージの広告代理店の中でも、「エリート」とされる、大手自動車メーカーの担当営業だ。

慶應義塾大学卒業。港区の大手広告代理店勤務。“花の第1営業部”所属、35歳、独身。

エリート街道をひた走ってきた瑛太は、このまま順調に出世できるのか…?

これは、東京でしのぎを削る30代サラリーマンの、リアルな心の叫びである。

後輩の航が競合プレゼンの主導権を握り、チームメンバーの信頼を奪われそうだったものの、同期の助けもあり、再び瑛太にもチャンスが回ってきた。そんな瑛太に、続いての試練が待っていた…。


「さて、どうしたものかな」

競合プレゼンまで約2週間となり、チームメンバーが忙しく動き回っている中、瑛太は一人デスクで、PCを見つめていた。

今度のクライアントキーマンとの“会合”の段取りを考えていたのだ。

クライアントとの“会合”にも様々なバリエーションがある。

日頃の情報交換と称して、夕方の打ち合わせの流れで食事に誘う“会合”、

キャンペーンやイベントの打ち上げで、友人の女性にも参加してもらって楽しく飲む“会合”、

そして今回のように、大事な提案を前に、キーマンから少しでも情報を聞き出すための“会合”だ。

もちろん日頃のやり取りの中からクライアントの課題をしっかりと把握しておくのは大前提だが、“会合”の席で思わず出てくる本音をしっかり引き出すのも、営業の腕の見せ所である。

「えーと、確か先方は白金高輪にお住まいで、職場の場所を考えると…」

特に大事な会合でのお店選びに関して、初めて行くお店という選択肢は基本的にはありえない。

また、いくら馴染みのお店であっても、クライアントの職場や自宅とは遠く離れた場所ももってのほか。

他にも、最近の会合でどういったところにお連れしたか、食の好き嫌いや最近の好みなどの情報を加味して、お店を決める。

今回の、先方のキーマンは大和田部長、52歳。

食べることが大好きと公言しているが、外食続きがたたり、現在はダイエットを意識。好きなお酒はワイン全般。

−よし、あそこのお店にしよう。

こうして瑛太は、いくつか思い浮かんだ候補の中から、お店を決めた。

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