女もつらいよ Vol.8

必死になれる仕事ほど、面白いものはない。だが仕事は「女としての幸せ」は満たしてくれない

高学歴・高収入・男性に引けを取らない仕事への情熱。

都内の高級エリアに住み、欲しいものは何でも自分で買うことが出来、食事は本当に美味しいものしか食べたくない。

にゃんにゃんOLのように自分の生活を誰かに変えてもらおうと、必死で結婚相手を探す必要もない。

そんな無敵のような女に訪れた苦難。あなたは、どう感じるだろうか?

上司から突然NYへの赴任辞令を言い渡された可奈子。夫・清も可奈子がNYへ行くことに納得してくれ、仕事を続けながら子作りにも取り組んでいくことになった。

可奈子と清は、2年間の遠距離別居婚をした後、可奈子は東京オフィスに戻ってきた


ーこの瞬間は、何度味わっても鳥肌が立つわ…。

ある日のミーティング中、可奈子はそんな思いをかみ締めていた。

仕事で得られる高揚感は、何にも代えがたい。

この喜びを知ってしまった可奈子のような女は、そう簡単にこれを手放すことはできない。「もう一度」と何度も心の中で繰り返して、この瞬間のために全力で仕事をするのだ。



それは数日前の深夜。可奈子はその日、がらんとしたオフィスに残っていた。

フロアを見ると、後輩のエミリがチームで一人残っている。

可奈子が頼んだ提案書をアソシエイトやアナリストに指示し、彼らの作ったページを一人残って最終化させているのだろう。

自分のVP時代を思い出して、可奈子は目を細めた。

―彼女が仕上げたものを見てから帰ろう。

自分の仕事を片付けながら、待つこと数時間。エミリからファイルが送られてきたのは深夜1時過ぎだった。

“確認してコメントつけておくので、必要あれば明日修正して下さい。今日はお疲れ様でした。”

可奈子はそうメールして、首のコリをほぐしながらファイルを開いた。

この案件は、可奈子がオリジネーションしたもので、顧客のニーズに合う売却案件を、NY時代のネットワークを使って入手したのだった。

まだマーケットにも流れていない、他社のどこも持ち込んでいないはずの案件。

なんとしても具体化させたいと、可奈子は密かに闘志を燃やしていたのだ。

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