花の第1営業部 Vol.2

花の第1営業部:代理店マンが夜な夜な開く“会合”には、女には分からぬ駆け引きがあった

数日後、早速今回の競合プレゼンに向けた、キックオフミーティングが行われた。

広告代理店は、社内に様々な専門部署があり、プロジェクトに合わせてチームが編成されていく。

今回は「デジタル戦略が中心のキャンペーン」というオーダーなので、まずはクライアントと向き合う「営業」と、航がいたデジタルの専門部署「デジタルイノベーション部」のメンバーのみで、キックオフミーティングが行われた。

広告代理店は社内に様々な担当部署があるため、時には社内の他部署がライバルとなることがある。

仮に最初のミーティングから新聞担当を招集すると、クライアントは「デジタル戦略」の提案を求めているのに、社内の事情でなぜか新聞広告の提案をせざるを得ない、といったことが起こり得る。

そのあたりを見越して、「チーム編成」から「全体方針の決定」、「個別戦略の立案」までを最終的に責任を持ち、チームをまとめるのが、“チームリーダー”に課せられたミッションだ。


「…、というのが今回のクライアントからのオリエン内容になります。」

チームリーダーである瑛太は、集まったメンバーに対して、クライアントからの要望事項を伝える。

ただし、オリエンではクライアントから「総予算」、「キャンペーンのターゲット」、「実施の時期」など大枠の条件のみが提示されるだけということも多い。

今回もやはり、細かな条件はヒアリングできていないため、早速メンバーから様々な質問を浴びることになった。

「瑛太さん、では今回のキャンペーンのKPIはキャンペーンサイトに、100万UU(ユニークユーザー)を流入させるということで間違いないですか?」

「単純にUU獲得だけでは、今のデジタル戦略のトレンドだとイマイチですかね。その場合、他のクライアントはコンバージョンの獲得をゴールにすることが多いですが、瑛太さん、今のクライアントの求めるコンバージョンはどういったことになりますか??」

デジタルが苦手な瑛太は、そもそも何を質問されているのかもよくわからない。

ただし下手に自分の無知を悟られてしまっては、チームリーダーとしての信頼も下がってしまう。

「えー、それについては…」

瑛太が返答に窮していると、航がスッと立ち上がった。


「ご指摘頂いた通り、単純にUUを獲得するだけの提案では、クライアントは満足したとしても、他の広告会社からの提案に負けてしまう可能性があると思います。

実はクライアントとこの前話しをしていたら【自社サイトへの会員登録】をしてもらえたら、購入につながりやすいというレポートが社内で出......


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