裏切られた妻たち Vol.7

不意に見せた、昔と変わらぬ優しい態度。反省したかに思われた夫の浮気現場を、探偵に暴かれた夜

一見、何の問題もなく幸せそうに見える仲良し夫婦。

けれども彼らの中には、さまざまな問題を抱えていることが多いのだ。

仲良し夫婦だと思っていた北岡あゆみ(32歳)は、あるメールをきっかけに、夫である樹が浮気をしていると確信する。しかし、決定的な証拠がなく、問い詰めても言い逃れをされるばかり。

あゆみは紀子と一緒に、探偵事務所を訪れる。そこで事務所の代表である星川と話をし、冷静さを取り戻した。


ー絶対に浮気しない人など、いません。

探偵の星川に言われた言葉に衝撃を受けながらも、樹にも浮気をしたくなるような3つの条件に当てはまることがあったのだろうかと、あゆみはぼんやりと考えた。

しかしその条件が樹に当てはまるかどうか、いまのあゆみには分からない。それよりも、どうやって樹の浮気の証拠を集めるかを考えなければならないのだ。

「では、まず浮気の証拠が分かったとして、その後の最悪のケースも視野に入れて進めましょう」

証拠を集めた後、どうしたいのかはっきりと決まらないあゆみに対し、星川は色々とアドバイスをしてくれた。

「最悪なケースとは、離婚裁判をする場合です。どこまで証拠集めをするかはお任せしますが、これ以上あゆみさんが疑っていることをご主人に勘づかれないようにしてください。調査しづらくなります」

初めは彼の冷たい態度に怒りを覚えたものだったが、淡々と話す彼のおかげで、あゆみも冷静に考えることができた。

「では、一番可能性のありそうな金曜、土曜の2日間を、まずは来週尾行します。そこで一旦証拠が取れるか試してみましょう」

星川に提示された報告書込みでの見積もりを見て、覚悟していたものの、やはり高いな、と思う。けれども、そうも言っていられない。樹なんて、彼女のためにその額以上を使っているかもしれないのだ。

「分かりました。ではその方向でお願いします」

あゆみはしっかりとした口調で答えた。不思議なもので、こうして目的を持って行動をしていると、何も分からずもがいていた時の恐怖心が、少しだけ和らいだ。



帰り道、何となく黙ったまま歩いていると、紀子が先に口火を切った。

「あゆみちゃん、すごく頑張っていると思うわ……」

紀子の言う、その言葉の意味が一瞬分からなかった。今の自分は、何も褒められるようなことをしていない。

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