2018.01.25
裏切られた妻たち Vol.1一見、何の問題もなく幸せそうに見える仲良し夫婦。
けれども彼らの中には、さまざまな問題を抱えていることが多いのだ。
北岡あゆみ、32歳。大手電機メーカーの企画開発部に所属する彼女も、昨日までは、この幸せな生活が永遠に続くものだと信じていた。
ある一通のメールを見るまでは…。
妻たちは、どのような思いで夫の裏切りを耐え抜き、行動に出るのだろうか?
苦しみの幕開け
「あなたの旦那さん、浮気しています。」
この文字が並んだ白いパソコン画面が、あゆみの脳裏に焼き付いて離れない。これは昨晩、突然会社のメールアドレスに届いたものだった。
衝撃的なメールのせいで一睡もできなかったあゆみは、ぼーっとした頭の中、8階にある部屋のリビングの窓から、明けたばかりの空を眺めていた。
ここは、中目黒にある10階建てマンションの一室。結婚と同時に引っ越した物件で、築年数は15年と新しくはないが、1LDKで駅から歩いて5分と立地が良く、あゆみのお気に入りだった。
「おはよう、早いね。」
そう言って起きてきたのは、夫である北岡樹(いつき)だ。樹は2つ年上の34歳で、二人の出身大学である横浜国立大学で出会った。樹の友人があゆみに声をかけてきたのがきっかけで二人は付き合い始め、3年前に結婚。樹は、日系の製薬会社でMRをしている。
「どうしたの?顔色悪くない?」
樹はいつものように、デロンギのエスプレッソマシーンをセットしながら、心配そうにあゆみの顔を覗き込んだ。
「ううん、大丈夫。」
樹に悟られないようにと、必死で笑顔を返す。けれども、寝不足のあゆみの顔はたしかに血色を失くし、目の下にうっすらと見えるクマが、32歳という年を隠しきれていない。
「ほんと?最近風邪が流行っているみたいだし、気をつけてね。コーヒー、いる?」
樹はいつの間にか、あゆみの好きなカプチーノを作ってくれていた。甘やかなコーヒーの香りを嗅ぎながら、あゆみは“やはり昨日のメールはただのイタズラだよね”と思う。
樹とは、あゆみが22歳、彼が24歳から付き合い始め、もうすでに10年も経つ。途中5年ほど別れていた期間はあったが、再会してからはトントン拍子に、結婚に至った。
樹は昔から穏やかで優しく、怒ったところを見たことがない。肩幅の広い彼にハグをされると、嫌なことが浄化され、穏やかな気持ちになれた。そんな彼と結婚できたことを、あゆみは心から幸せに思っている。
ー大丈夫。こんな優しい人が浮気なんてするはずないじゃない……。長い付き合いだけど、今までだって一度もそんなことはなかったもの。それに、夫婦関係も良好だし。
そうは思ったものの、よく考えると、最近妙に帰りが遅かったり、出張が多かったりすることが少し気になった。
しかしあゆみは、それについて聞こうとは思わなかった。自分の分身のような樹が浮気しているなんて、全く想像ができなかったのである。
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