—恵比寿で出会った女の子と、結婚するんだろうな…。
漠然とそう考えていた、恵比寿を愛する男・タクミ。
そんなタクミがある日出会ってしまったのが、未知なる生態の銀座女子だった。
これはタクミと銀座女子との、100日に渡る物語である。
泉に一目惚れしたタクミは、見事デートに誘えたものの、慣れない銀座デートで手応えを感じられずにモヤモヤしていた。意を決して、今度は恵比寿でのデートに誘ってみるが…?
「今日はありがとう。まさか来てくると思わなかったから、本当に嬉しいよ」
タクミは素直な気持ちを、隣に座る泉に伝えた。
恵比寿西1丁目の交差点からほど近いレストラン。最近できたばかりの、人気店の2号店だ。
デートや女子会にピッタリなお店で、きっと泉も気に入ってくれると思い、断られることを覚悟で誘ったのだ。
LINEは思いがけず秒速で既読となり、こんな返事がきた。
“そこ、友達がインスタに上げてて、行ってみたかったんだ”
ホスピタリティの高い女の子は、たとえ行ったことがあるお店や、たとえ興味がなくても、そんなことを言ってくれる。
だが泉の場合はおそらく本心で、お店のセレクトが奇跡的にハマったのだろう。
—俺の実力じゃなく、レストランのおかげか…。
タクミは複雑な気持ちになりながらも、前回の銀座デートでの不甲斐ない自分を挽回すべく最初から飛ばした。
泉も「おいしい♡」と可愛い顔をほこらばせたり、写真を撮ったりと楽しそうだ。
前回の食事中とは明らかに違う反応に手応えを感じていた。だがその時、悲劇が起こった。
「あっれー、タクミくん!?」
店に入ってきた女性4人組が高い声を出した。それは一時期、タクミが恵比寿で毎週のように飲んでいた女子グループだった。