—恵比寿で出会った女の子と、結婚するんだろうな…。
漠然とそう考えていた、恵比寿を愛する男・タクミ。
そんなタクミがある日出会ってしまったのが、未知なる生態の銀座女子だった。
これはタクミと銀座女子との、100日に渡る物語である。
「恵比寿にいる女の子の何が良いかって?それはもちろん、可愛くてノリが良いからだよ」
可愛いだけではダメ。ノリが良いだけでもダメ。
明治通りを走るタクシーの中で持論を展開しながら、タクミは同僚と恵比寿へ向かっていた。
外資系メーカーでマーケティングをしているタクミ(30歳)は、中目黒に住み遊ぶのはもっぱら恵比寿、という男。
恵比寿や六本木界隈に生息しているような、洗練されてちょっと気が強いくらいの女性が好きで、そんな女性たちと毎週のように食事会を繰り返している。
食事会は、もはやライフワークと言い切るタクミ。
これまで付き合ってきたのももちろん、恵比寿でレッドソールを鳴らして歩くような女性たちばかり。
ラグジュアリーブランドのPRに、代理店女子、丸の内の損保OLに役員秘書…。
幼稚舎出身の友人に連れられ、たまには西麻布の会員制カラオケに行くこともあるが、タクミのホームはもちろん恵比寿界隈。
—いずれは、この恵比寿で出会った誰かと、結婚するんだろうな…。
30歳になり、漠然とそんなことを考えていた。
だがある日、一人の女に出会い、タクミの人生は大きく舵を切るのだった。