今さら聞けないワインの基礎知識 Vol.9

40年で価格20倍!ロマネ・コンティが今1本100万円もするのはなぜ?


――それなら正規代理店のお得意様になればいいのでは?

柳「それを望んでいる人がどれだけいると思う? 正規代理店に入荷する分は、著名レストランや有力酒販店など、売られる前からすでに配分が決まっちゃってるよ。

ほら、確実に将来値が上がるフェラーリのスペシャルモデルも、それまでフェラーリを買ったことのない人には新車で売ってくれないでしょ。それと同じ。」


――ほかに投機対象になっているワインって?

柳「カリフォルニアのカルトワインもそうだよね。その代表の「スクリーミング・イーグル」は、メーリングリストに載った人だけがワイナリーから直接買えるのだけど、蔵出し価格は1,000ドル程度らしい。

それが市場に出るとすぐさま倍の値がつき、パーカーが100点をつけた97年は今5,000ドルまで値が吊り上がってる。」

――そもそもそんなバカ高いワインは本当に美味しいんですか?

柳「美味しいね。」

――柳さんもズバッと来ましたね。

柳「ロマネ・コンティの美味しさは別格。もっとも最後に味わったのはもう7年前で、その66年物ロマネ・コンティは、人ではなく神が造り給うた、ワインを超えた存在だと思った。グラスをもつ手がぶるぶる震えたよ。まあ、グラスの中身が20万じゃ手が震えて当然だけど。」

これから値上がりしそうなブルゴーニュの銘醸物


――ひぃ〜、一杯20万! これから値段が上がりそうなワインって?

柳「ボルドーのトップシャトーは高値安定で、今はロマネ・コンティ以外のブルゴーニュの高騰が著しい。アルマン・ルソーのシャンベルタン、コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエのミュジニー、コシュ・デュリーのコルトン・シャルルマーニュなど。

すでに十分高価だけど、グッチやバレンシアガなどのブランドを所有するピノー家が買収したクロ・ド・タールも、今後ますます値が上がるんじゃないかな?」

――もうこうなったら、田舎の庭先で年産100本の超カルトワインを造って、世界一高いワインを目指してやる!

柳「う〜ん、いくら供給が少なくても、需要がないとねぇ(苦笑)。」

今買っておくべきはこの1本!
「クロ・ド・タール グラン・クリュ 2014」

1141年から歴史にその名が刻まれる、由緒正しきモレ・サン・ドニ村の特級畑。ロマネ・コンティ同様、所有者が一軒のみのモノポールで、2017年にモメサン家からピノー家のグループ・アルテミスへ売却された。緻密で繊細ながら、力強さも秘めている。※写真はヴィンテージが異なる。

¥50,760/エノテカ・オンライン TEL:0120-81-3634


教えてくれたのは、柳 忠之さん

■プロフィール
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に、ワインの達人が親身になって答える

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