はいすぺさんが通る Vol.9

社会的信用を手放してでも、初めて「リスク」を受け入れた、はいすぺさんの決意

容姿、学歴、収入。男のスペックは高ければ高いほど良い。

が、同じだけのスペックを女が持ち合わせたとき、果たしてそれは本当に幸せなのだろうか。

東大卒・外銀勤めの楓はいわゆる「ハイスペック女子」。

4年ぶりに再会した憧れの人淡い恋心を抱くも、相手は楓のことを優秀な人材としてしか見ておらず、自身のファンドへ誘ったのだった。

一方、親友の美里は、彼氏の転勤に伴い、自分のキャリアを大きく変えることを決断していた。

女としての自信を失いつつも、キャリアのステップアップのチャンスに心が動いている楓は・・・


「え、えぇーーーー!?」

『ウエスト 青山ガーデン』店内に、素っ頓狂な声が響き渡った。

「楓、声大きい!そんなにびっくりしなくても。」

美里は苦笑いしながら珈琲をすすった。

「ごめん、でもいきなりワシントンで働くなんて言われたら、それは驚くでしょう!」

「いや、今すぐってわけじゃないよ?でもこっちで残り1年の研修を終えたら、なるべく早くあっちに移るつもり。」

確かに、楓の勤める外銀でも、夫婦どちらかの海外転勤に伴い、もう一方も同じ現地の支社に社内転勤したり、転職したりすることはしばしばあった。

楓の部署の外国人上司も、奥様の転職で東京に移ることになったのをきっかけに、彼自身も転職してきたと聞く。

地球ってそんなに小さかったっけ、と楓は入社当時衝撃を受けたものだ。

―とはいえ、まさか親友がそのパターンになるとは・・・

「楓もそうだと思うけど、私達って受け入れられるリスクは大きいと思うのよ。普通は諦めちゃうような困難にぶつかっても、きっとその時はその時で何とかする、できるって思えるから。

そうやってよくよく考えてみたら、啓太の仕事を応援するために少しだけ自分の人生をリスクにかけることなんて、全然怖くなかったわ。」

そう言って大きな口でパンケーキを頬張る美里は、幸せと自信に満ち溢れて見えた。

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