名店を、ランチで愉しむ

リーズナブルにあの味を堪能できる、絶好の機会をお見逃しなく。

ランチの前菜一例、ナスと赤ピーマンのテリーヌにマイワシのマリナートを添えて

プリズマ

PRISMA

極めつけのイタリアン、休日のみ許される愉悦

広尾『イル リストランテ ネッラ ペルゴラ』で名声を得た斎藤智史氏が、新たなステージを求めて今年2月にオープン。人間国宝が手がけた屏風、骨董品のスピーカーなど細部に至るまでこだわり抜いた空間だが、何よりも目を引くのが開放的なキッチンだ。そこでは「店を売るための作為はない」と言う氏がすべてをさらけ出し、真の美食を求めるゲストのために腕をふるい魂をも注ぐ。本来はディナーだけに集中したいが「自然光の中で食べる気持ちよさは捨てがたい」と日曜&祝日にランチを実施。一面のガラス窓から差し込む明るい陽光が、ひと皿に宿る熱意と美学をくっきりと浮かび上がらせていく。

左.からすみと茶豆のタリオリーニ。自家製の手打ち生パスタを使用する

右.エスプレッソコーヒーとグラッパのスフレ。ランチは基本的にひと口前菜から始まる6品程度の構成

※こちらの店舗は現在閉店しております。

秋の前菜一例、秋刀魚とたいら貝をサッと焼き無花果と肝ソースで。一品目から量が十分

アオヤマエサキ

青山えさき

夜の延長線上にある“本気”ランチがここに

オーソドックスな日本料理なら、ひと口サイズの先附で始まるのが一般的。だが、ここでは素材をしっかり盛り込んだ前菜からスタートする。初めての客の中には戸惑う人もいるそうだが「皆さん、お腹をすかせて来ますからね。まずは食べる喜びを感じてほしい」と主人の江﨑新太郎氏。献立だけに限らず、"えさき流"は随所に顔を覗かせる。例えば西洋風の盛りつけをしてみたり、食材にフルーツを多用したり。とはいえ、創作料理ではなく、あくまでも「食べて楽しい」日本料理。そしてひと皿にかける思いは、昼も夜も一緒。ランチでさえ客を満足させずにいられないのもまた、えさき流である。

左.デザートの「甘いもん」も食べ応えのある内容

右.伊勢いさきとサザエに彩り豊かな野菜をのせて。魚介のソースに加えブルーベリーソースで酸味のアクセントをつけた一品

本日の魚料理。築地で素材を見てから決める一品、この日は銚子産スズキをポワレに

ラマティエール

フランス料理 ラ・マティエール

値段以上の満足を求める欲張りな客が集う

シェフの池田辰之氏が神楽坂の路地裏で、一軒家の物件に出合ったのは6年前。「基本は正統派フレンチだけど、ビストロも好き。自ずとスタイルは定まった」というプリフィックスでのスタートだったが、それは料理の質は保ちつつ値段を抑えることでもある。結果、ありそうでない店として評判が広まり、今も予約が取りにくい状況が続く。毎朝築地に足を運び吟味を重ねる魚の料理、猪が1頭手に入れば自ら解体するほど入れ込む肉料理。昼と夜の食材は同じで、表現方法を変えるだけ。ディナーでも十分にコストパフォーマンスの良さを実感できるこの店、ランチについては言わずもがな、である。

左.前菜、海の幸のタルタルサラダ。メニューにないと常連から不平が出る一品

右.豆乳の一皿。目の前の山本豆腐店で朝絞ったばかりの豆乳を仕入れ、軽やかなデザートに

コースの前菜盛り合わせ。秋なす、百合根、ズワイガニなど旬の食材がそこかしこに

ライカ

礼華

夜と同じフカヒレをリーズナブルに提供

店内を見回すと、中国料理店でおなじみの円卓はひとつもない。1人分ずつ、華やかに盛りつけを施された料理が次々にサーブされていく。新山重治総料理長が繰り出すのは、日本の旬を的確に捉えたヌーベルシノワ。若き日より『トゥーランドット游仙境』脇屋友詞氏の薫陶を受け’04年に独立、従来より油を控え季節感を表現する技に益々磨きをかける。オープン時より「品質は落とさず、リーズナブルに」提供し続けるランチコースは目を見張る内容だ。真珠5,250円はメインにフカヒレの土鍋入り姿煮込みを据え、さらに秋は上海蟹を取り入れるなど高級食材を惜しげもなく使う。感動の余韻は、深く長い。

左.フカヒレの土鍋入り姿煮込み。リーズナブルに味わえるのもランチならでは

右.ホタテ貝と秋野菜の炒め。とろみはあるが油のくどさを感じさせない優しい仕上がり

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