2017.11.16
カマトト狂騒曲 Vol.1「で、花凛ちゃんはいつフリーになるの?」
峯岸が、冗談交じりで聞いている。皆女子アナの給料事情が気になるらしい。そんな時に返す言葉は決まっていた。
「そ、そんな、フリーだなんてっ……。会社にお世話になっていますし、女子アナだって所詮はただの会社員ですからぁ…。」
あくまでも会社員。この響きに、なぜか人は共鳴し、好感を持つのだ。
「お金だって全然ないですし、世間が言うほど、なんにも知らないんです……。ランチはいつも社食だし、富士そばとか好きでしょっちゅう食べてる感じですよぉ~~」
―昨日局長にお昼おごってもらうとき、「だったら十番の更科行きたい~」って言ってたクセに…。
私は心の中でまた、突っ込みを入れた。
たしかにタレントさん達と比較すると驚くほど低いけれども、一般のサラリーマンに比べると給料は高く、金銭感覚も普通とは言い難い。
特に花凛の場合、年収2,000万は下らないだろう。しかし、花凛は決してそのことを他言しておらず、同期の私でさえ彼女の年収を知らない。
「花凛ちゃんって、いい子だね。」
峯岸が鼻の下を伸ばしながら花凛を見つめていた。
◆
翌日、早朝5時からの生放送があった。たとえどんなに深夜まで飲んだとしても、女子アナの朝は早いのだ。
「それでは本番参りまーす!はい、ゴー、ヨン、サン、(2,1 ...)」
ADさんの声がスタジオ内に響き渡ると一瞬にして緊張感が高まり、そのまま本番を迎える。
「皆様、おはようございます。朝から元気いっぱい、新人アナの木崎翔子です!」
後輩である木崎翔子の笑顔を、私はモニター越しに凝視していた。
若いアナウンサー達は希望に満ちた目をしており、それは新人特有のフレッシュさとなってお茶の間の人気を集める。
しかし、彼女にはそれに加えて何かを感じる。私なんかとは比べ物にならない、花凛に似た何かを。
—木崎翔子が、花凛の後釜になるだろう。
翔子の入社当時から、局内ではもっぱらそう言われていた。女子アナの寿命は短い。早めに、次のエースアナを育てておかなければならないのだ。
昨日の食事会で、皆の視線を独り占めする花凛を思い出す。私はこうしてまた、後輩にさえ追い抜かれていくのだ。
そんな時、あることを思い出した。
「翔子ちゃん、再来週空いてる?花凛と食事会に行くんだけど、翔子ちゃんも来ないかと思って...」
「花凛先輩もいるんですかぁ?もちろんです♡」
私は最強のカマトト女子・花凛と翔子の戦いを、この目で見てみたいと思ったのだ。
▶NEXT:11月23日木曜更新予定
最強のカマトト女子・花凛VS後輩の翔子。笑顔で足を引っ張り合う女たちの本性
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
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