麗しの35歳 Vol.7

「男として、見てほしい」年下男が憧れる、35歳女との最後の夜をぶち壊した罠

女性の結婚率は、35歳を境に急激に下降する。

東京で、まことしやかにささやかれる言葉だ。

他にも、身体の変化、実家の問題、将来への不安と、目を背けたいことが増えてくる年齢でもある。

だがしかし。そんな悲観を抱くことは一切なく、麗しき独身人生を謳歌する女がいた。

恭子、35歳。

彼女が歩けば、男たちは羨望の眼差しで振り返り、女たちは嫉妬する。

恭子は一体、何を考えているのか?


外資系ラグジュアリーブランドで働く恭子の部下・周平は、恭子にそっと想いを寄せ、それに気づいてしまった元彼女・瑠璃子は気が気でない。

ある夜、周平は重要な話があると言って恭子を呼び出した


僕は『Wine Bar 16℃』のカウンターで恭子さんを待ち続けていた。

時計の針は23時をまわろうとしている。こんな夜更けにも関わらず、僕が彼女を呼び出したのは、重要な話があるからだ。

僕の重大な決心、それは何を隠そう、他社への転職だ—。

そう、あれはひと月前の出来事—。

僕は一日中、デスクで頭を抱えていた。

本国・イタリアから急な要望を押し付けられ、お手上げ状態だったのだ。競合の他社ブランドの、マーケティング活動を調査して週末までに提出するようにという業務命令だ。

この調査を卒なくこなすためには他社の人脈が必要だ。しかし僕には、全くと言っていいほどツテが無い。

でも、恭子さんは違う。大手ブランドで積み上げたキャリアと、そこで手にした信頼という財産のおかげで、業界内の強固な人脈に恵まれているのだ。

そんな僕を見かねて、彼女は代わりに調査をまとめてくれた。恭子さんには朝飯前のように見えたが、彼女にだって彼女の仕事が山積みのはずだ。

毎度毎度、助けてもらっているどころか、むしろ足を引っ張っている。

彼女の魅力を知れば知るほど、自分がどれほどに幼稚で無力な男なのかを思い知らされるのだった。

イタリアオフィスとの電話会議を終えた恭子さんが、ディレクターと連れ立って会議室から出てきた。ほっとした安堵の表情で2人は頷き合っている。

やっぱり、彼女にふさわしいのは、ディレクターのような大人の男なのだろうか。

そんな矢先のことだった、それまでなんとなく登録していた転職エージェントから声がかかったのは—。

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