恋愛中毒 Vol.5

恋愛中毒:「他の女に、指一本触れないで」禁断の恋に酔う男女が招いた、一瞬の隙

人妻が恋するのは、罪なのか。

裕福で安定した生活を手に入れ、良き夫に恵まれ、幸せな妻であるはずだった菜月。

結婚後に出会った彼は、運命の男か、それとも...?

身も蓋もない、無謀で純粋な恋に堕ちてしまった女は、美しく、ひたむきに、強かに、そして醜く成長していく。

人妻の菜月は、独身のフリをして参加した食事会で、独身の達也と出会い、警戒心を抱きつつも、ついに恋に堕ちてしまう。しかし、彼には実は恋人がいた...?


「このまま、たっちゃんと一緒に暮らせたらいいのに」

あゆみの媚びるような声が、達也の耳にふわりと不快に響く。

食事のあとに部屋にやってきた彼女は、下着姿に達也のTシャツを羽織り、いつまでもリビングで寛いでいる。

Tシャツの裾からは形の良い脚がスラリと伸びているが、一通り事が済んだ後では、大して興味もそそられない。

あゆみ曰く、今日は“付き合って三ヶ月記念日”らしい。だが正直、達也にとっては“恋人”と呼べるほどの存在ではなかった。

彼女を初めてこの部屋に招いたとき、半ば押し切られるような形で、生半可に返事をしてしまったのだ。

艶やかな長い黒髪に、少々キツめではあるが、美しく整った顔立ち。そのとき達也は、ただ肉体的な欲望に逆らえなかった。

「終電、まだ大丈夫?」

なるべく優しく言ったつもりだが、自信はない。

あゆみの表情を見るのも億劫で、テレビから目を逸らさずにいると、視界の端で彼女が帰り支度を始めたのでホッとする。

しかし、この物分かりの良さというか、妙な賢さが、あゆみの手強いところだ。だからこそ、切るに切れない関係が続いている。

―ここにいればいいじゃん。帰らないでよー

昨晩、違う女に対照的なセリフを囁いたことを、達也は自嘲気味に思い出す。

菜月に対しては、なぜか強い支配欲が湧いてしまうのだ。

それは単に、彼女が人妻だからだろうか?

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