SPECIAL TALK Vol.35

~失敗するからこそ改良点を考え抜く~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。規制改革推進会議議長代理、未来投資会議構成員、経済同友会副代表幹事、NIRA理事長を務める。

新しい技術を貪欲に取り込み、ハウステンボスで〝社会実験〞

金丸:澤田さんにはもうひとつ、好奇心旺盛という強みがあります。新しいものに目がない。ロボットを導入した「変なホテル」もそうだし。

澤田:このまま少子化が進んで将来労働人口が減るならば、考えられる選択肢は2つしかありません。移民政策をとって海外から人を呼び込むか、またはロボットなどのテクノロジーを活用して、生産性を上げていくか。自分にも何かできないかと思って、ホテルにロボットを導入してみたんですが、実際のところ「変なホテル」は、お客様の満足度だけじゃなくて、生産性が非常に高いんです。

金丸:ロボットは何台ぐらいあるんですか?

澤田:27種類のロボットが233台働いています。

金丸:どんなロボットが働いているんですか?

澤田:フロントの恐竜型ロボットをはじめ、客室への荷物運びやクロークの出し入れ、床掃除、窓拭き、芝刈りとかも全部ロボットがやっています。従業員は開業当初30人だったのを、7人まで減らすことができました。

金丸:そんなに効率化できたんですか。そういう意味で「変なホテル」は、全然変じゃない。最先端をいっていて、すごく真っ当ですよ。

澤田:「変なホテル」の「変」は、変化して進化するという意味ですからね。2年前にできたホテルが試行錯誤しながら、どんどん進化していってる。この3月には2棟目が千葉の舞浜、8月には3棟目が愛知県の蒲郡市にオープンしました。長期的には国内外に100棟展開していきたいですね。

金丸:それだけのポテンシャルはあると思います。このほか、農業やエネルギーにも取り組まれていますね。

澤田:世界の人口はまだまだ増えます。このままいけば、必ず食糧不足の時代がやって来る。それに備えて、全自動の植物工場の実験をハウステンボスで始めます。センサーで生育状態をチェックし、自動で水やりをして肥料を撒き、収穫もロボットが行う。砂漠だろうと極寒だろうとどんな土地でも、ほぼ無人で運営できる植物工場をつくりたいと考えています。これも失敗しながら、数年後にはできるんじゃないでしょうか。

金丸:私も農業はもっとIT化して、生産性の高い農業に変えていかなきゃいけないと、ずっと言い続けています。完成が待ち遠しいです。それからエネルギー分野では、どのような取り組みをされているのですか?

澤田:ポーランドや日本の企業と組んで、薄い太陽光パネルの開発をしています。薄いとどこにでも貼れるし、大型の印刷機のような機械で生産するので、コストが現在の4分の1程度になる見込みです。

金丸:火力発電よりコストがかからなくなりますね。

澤田:そうなれば、自然エネルギーに切り替えることができますよね。あと太陽光は夜は使えないので、安くて性能のいい蓄電池の開発を並行して進めています。日本のエネルギー政策は、いまだに原発ありきですが、原子力発電に頼るのは、もうやめたほうがいい。一度大事故を起こせば、地域が全滅してしまいますから。

金丸:ドイツに続いて、韓国も脱原発を宣言しました。デンマークは自然エネルギーと化石燃料で、エネルギーを100%自給しています。日本だって、原発がなくてもどうにかできますよ。

澤田:割高だった自然エネルギーでの発電コストも下がってきているし、ここで踏み切るべきです。

金丸:こうしてみると、ハウステンボスはいわば最先端技術のラボですね。世界が抱える問題をテクノロジーで解決しようという。

澤田:そうですね。広さはモナコ公国と同じぐらいなんですけど、そこにホテルからレストラン、上下水道から発電施設まで、すべての都市機能が備わっています。そういう環境だからこそ、新しい技術やサービスの実用化に向けて、いろんな実験ができるし、たとえ失敗しても、誰からも文句は言われません。

金丸:ハウステンボスは特区のようなものですね。

澤田:東京の公道ではセグウェイに乗れないけど、ここならセグウェイの進化版だって走っていますよ。

金丸:自動走行の車だって実験できちゃう。

澤田:そうそう。そういう意味でもハウステンボスは、H.I.S.にとって大きな資産になりました。

若くして成功している人が注目される社会に

金丸:澤田さんは今年で66歳ですが、いつまで現役を続けるか考えたりしますか?

澤田:もちろん若い人を育てて、どんどん譲っていこうと思ってはいますが、それでも自分は何かしら違う仕事をしているでしょうね。私みたいなオーナー経営者は、一旦辞めたと言いつつまた戻ってくるものなんです。だから「辞める」とは言わないことにしています。

金丸:私も澤田さんを見習って、言わないようにしよう。最後に、若い人たちにメッセージをお願いします。

澤田:将棋の世界では、中学生の藤井聡太四段が大活躍しています。そうやって若い人が活躍すると、その業界が注目され必ず人が集まってくる。ベンチャー企業も同じだと思うんです。30代、40代で起業し成功している人たちを、メディアや社会はもっと盛り立ててほしいなと。

金丸:同感です。でも実際は逆ですよね。ちょっとでも目立つと叩かれてしまう。

澤田:そうじゃなくて、みんなで拍手をしたらいいんじゃないですか。そうすれば、それを見た同世代や若い世代の人たちが、「自分もやってみようかな」と思うようになる。そんな環境をつくっていけば、若い人がチャレンジ精神を取り戻してくれるんじゃないかと思うんです。

金丸:若い人たちには澤田さんのように、失敗をポジティブに捉え、どんどん挑戦してほしいですね。何度失敗しようと、最後に一度成功すればいいんだから。今日は元気が出るお話をたくさん伺えました。本当にありがとうございました。



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