2017.08.08
東カレデート対決 Vol.1彼女からの無茶ぶりに、あなただったらどう返す?
盛り上がりきれない二人の元に、前菜3品目である“ブラックペッパーとアンショビを添えたライスペーパーのフライ”が運ばれた。
会話が一旦中断したその瞬間、まるで今回は“捨て”試合と判断したかのようなまさかの”無茶ぶり”を突如彼女は放り込んできた。
絵美「食レポしてみてください♡」
「珍しい組み合わせですね。食レポしてみてください♡」
しかし、そこは外資コンサルである。
美味しいレストランも十分にまわっているであろう。その知見から、一体どのような言葉発せられるのか、一同は固唾をのむ。
誠人「・・・濃いですね」
絵美「食レポになってないです(笑)!お酒に合うってことでいいですか?」
誠人「ナイスフォローです」
相変わらず朴訥と誠人がそう言うと、絵美は「うふふふ」と少し鼻にかかった甘えた笑い声を出した。どうやら、誠人という人は、本当に聞き役に徹する、自分を全く飾らない人物であることに絵美が気づき始めたようだ。
ここまで実に60分。いまだ自分のエピソードや仕事の話を1秒もしないような誠人を相手に、飾った会話をすること自体が無意味なのである。
美人CAを前に、血気盛んに自分をアピールしまくる男は、絵美の前に何人もいることであろう。しかし、目の前の誠人は違う。自分を大きく見せるという発想など欠片もないのだ。
果たしてこの誠人の態度が、天然ではなく計算なのだとすると、恐るべし、コンサルである。
初デートで「食レポしてください」という振りをする、計算なのか天然なのか、男心を自由自在に振り回す絵美。そんな彼女に何の不平も示さず「濃いですね」の一言を絞り出す誠人。
無言の時間でもやや笑顔でいる二人。二人の雰囲気は確実に変わりつつある。
意を決した男からの、軽いジャブ。彼女の反応は?
絵美は誠人に興味を持ち始めたのか、その後、誠人に「好きな食べ物」を聞き返す。その熱量はやや多めだ。
絵美「誠人さんは、一番、何が好きなんですか?」
誠人「うなぎかな」
絵美「今年、土用丑の日、2回ありますもんね」
誠人「そうなんですか?」
絵美「そうですよ~!行かれました?」
誠人「いや、今年はまだ1回も食べてません」
絵美「・・・」
さすが、一番好きな食べ物ですら、今年はまだ食べてないと言い切る誠人。今年はもう8月。鋼のメンタルである。
ところが、誠人が思わぬ会話の流れを見せる。
誠人は意を決したようにうつむいてこう言った。
誠人「だって、うなぎって一人じゃ行けなくないですか?」
そうであろうか?
スイーツが売りのファンシーなカフェやら、表参道あたりで女子会のメッカになっているようなイタリアンならわかる。
彼がひとりで行きづらいと言っているは、「うなぎ」である。
誠人「誰か、誘って行こっかな(ぼそり)」
誘いだったのである。
その声は通常時のボリューム1/2以下で、何とも弱々しい。鋼のメンタルの外資コンサルと言えど、やはり人である。明らかに意を決して発したであろう誠人のセリフに、絵美はどう答えるのだろうか?
絵美「一人じゃ行きづらいかもですね。私は、家の近くにたくさん同期が住んでるから、みんなのLINEに流せば、必ず誰か行く人が見つかるんですよ」
!!!
その後用意していたであろう、誠人の「良かったら、今度一緒に」という流れを華麗にスルー!
やはり彼女にとってこれは捨て試合なのだろうか?
さすがに誠人も大いにがっかりしたと思うが、それはおくびにも出さず、その後はまた彼女の「引っ越し話」に戻り、聞き役に徹している。2回目の「引っ越し話」である。
勝負をかけた挙句、振出しに戻った状態だ。
それでもまだ、誠人に焦りの色は見られない。
しかし誠人の口説き文句(になる直前の一言)に対する、絵美の「スルー地獄」は、まだ序の口であった。
▶NEXT:8月15日火曜更新予定
“捨て試合”だった女の心が揺れた瞬間とは?(後編)
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