デーティングアプリは、必然に。 Vol.4

初デート。男の私服が微妙でも「変えられる」と思う、女の勘違い

2017年、東京での“当たり前”な出会い方。

それはお食事会でも“友人の紹介”でもなく、デーティングアプリだ。

しかしオンライン上での出会いに、抵抗感を示す人は未だ少なくない。今まで難なく自分の生活圏内で恋人を探してきた男女なら、尚更のことだ。

商社で秘書として働く、桃香(30)もその内の一人。

―デーティングアプリって流行っているみたいだけど、私には必要ないわ。

そう思っていたある日のこと、友人・亜美がデーティングアプリで彼氏ができたことが発覚。憧れの先輩・奈緒が「いいね!」していた「東カレデート」をダウンロードする。

最初はアプリに抵抗を示す桃香だったが、元彼に新しい恋人ができたことを知り、「東カレデート」で知り合った外資系投資銀行勤務の秀一と会うことを決意した。



「さて…。今日は何を着ていこうかしら」


今日は「東カレデート」で知り合った秀一と、『ユニオン スクエア 東京』でランチデートの約束をしていた。

秀一のデートを決める段取りは、完璧だった。

『ユニオン スクエア 東京』という店のチョイスは、肩肘張りすぎていない感じがいい。それに、デーティングアプリでの出会いに抵抗があった桃香でも、ランチの誘いならハードルが低く、受けやすかった。


―やっぱり、秀一さんが私の運命の人なのね……。


元彼のケンに新しい恋人ができたと知って落ち込んでいた桃香だったが、秀一とのデートがトントン拍子に決まり、ご機嫌だった。

白金の自宅から『ユニオン スクエア 東京』があるミッドタウンまで、およそ15分。

スマートフォンの表示はまだ10:30だったが、出かける支度を始めた。初デートの支度には、いつも2時間ほどかかる。半身浴から始まり、メイクとヘアセットには普段の倍、時間をかけるからだ。

40度で沸かした浴槽に、ローズの香りがするジョー マローンのバスオイルを入れ、20分ほど半身浴をした。

ゆっくり湯船につかったせいか、いつにも増して顔色が良い。ベースメイクを入念にし、いつもより慎重に髪の毛を巻き終わった頃には、時計の針は12:30を指していた。


「……完璧だわ」


桃香は思わずつぶやいた。鏡に映る女は美しく洗練されており、これで恋に落ちない男は、きっと男じゃない。

完璧にセットした巻き髪を崩したくなかった桃香は、外苑西通りからタクシーを拾った。

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