2017.05.20
いま、大人は目黒で遊んでいる。山手線と南北線が乗り入れ、恵比寿や港区にもほど近い。—にも関わらず、これまで目黒は脚光を浴びてこなかった。それが今、このタイミングで多くの遊び慣れた大人が目黒に集ってきているという。
若者がいない落ち着いた雰囲気、抜群のアクセス、そして何より実力派のレストランが多くありながらも、近隣と比較してリーズナブルに楽しめるのがキモ。今回はそんな目黒の美食を二日連続でご紹介。まずは洋。行くべき価値はココにある。
『Restaurant L'asse』の「4種のチーズを包みこんだラビオリ」
イタリアの三ツ星で修業を積んだシェフが目指すのは「日本の食材や気候風土を生かした」イタリアン。皿の隅々に息づく美学を堪能したい。
目黒が世界に誇るイタリアン。必食のラビオリがここに
日本人がイタリアン好きなのは麺(パスタ)料理が充実しているからとか、生魚を食べるという食文化が似ているからなど、さまざまな理由が思い浮かぶが、大きな共通点として〝素材を大切にする〞という精神が料理に反映されているからではないかと思う。
『Restaurant L'asse』の村山太一シェフはイタリア修業時代の大半を過ごした『ダル・ペスカトーレ』で、オーナーのナディアさんから「もっとも優れた食材を、もっとも素晴らしい調理法で」と徹底的に教えられたと話す。厨房はいつもレストランの敷地内でとれた食材やイタリア各地から仕入れた肉や魚介であふれており、その光景は、なによりも料理人の胸を高鳴らせるものだった。
「その土地で手に入り得る一番優れた素材を使う」という料理哲学は、いまもはっきり胸に刻まれているというように、村山シェフが作る料理には日本各地の生産者から仕入れるとびきりの食材がふんだんに盛りこまれる。たとえば、シェフのスペシャリテとして定着した4種のチーズを包みこんだラビオリ。
『ダル・ペスカトーレ』にも同様のメニューがあるが、小麦や卵の種類、配合、チーズの種類をすべて刷新。ラビオリの皮に使う粉や卵は国産のものにこだわり、何十回も試作を繰り返したという。
モッツァレラは北海道、リコッタチーズに使う生クリームとマスカルポーネは熊本から、パルミジャーノは現在イタリアのものを使っているが、最終的には日本のチーズだけで作れるよう、つねにアンテナを張り、より良い食材を探し続けている。
純度が高くコクのあるチーズをたっぷり包んだラビオリは、つるんと口当たりが良く、マイルドで繊細な味。ラビオリというと野菜や挽き肉をつめたものをイメージするが、具材がシンプルなぶん4種のチーズの味のハーモニーが鮮明に記憶に残る。
カジュアルなレストランが多い目黒で、とりわけ眩い光を放つこの店には「日本が世界に誇るイタリアンを」というシェフの矜持が宿っている。
『RINASCIMENTO』の「COURSE RINASCIMENTO」
田沢正人シェフ渾身のシグネチャーディッシュをはじめ、タヤリンなどスペシャリテを集めた珠玉のコースをぜひ。
駅への帰路。余韻に浸りたいスペシャリテの数々
誕生からまだ半年少々というから驚く。名店『ダノイアルトリ』や『オステリア スプレンディド』で、共に名を馳せた田沢正人シェフとサービスマンの三浦幸一氏の名コンビと聞けば当然だが、早くも信頼できる安定感と貫禄がある。単品もそろうが、ぜひ「COURSE RINASCIMENTO〜リシナメントな夜〜」(8,640円)をオーダーしていただきたい。
アミューズに続くのが、シグネチャーディッシュである「インサラティッシマ・リナシメント」。本マグロのファヴィニャーナ風ブレザオラや花愁仔豚のネルヴェッテなど、手を掛けた小さな逸品が凛と並ぶ姿は壮観。運ばれてきた瞬間、歓声が起こる。シェフ曰く「五味を研ぎ澄まし、五感に訴え、食欲を刺激するようなひと皿」。
コースは、スペシャリテばかりを集めた全8皿。十数年作り続けているタヤリンは、ランゲ地方の名職人ベッピーノ・オッチェッリ氏が造るチーズを主役に、焦がす寸前のバターや季節のトリュフが芳醇に香り立つ名品だ。
目黒駅から8分の道のりは、看板を掲げないレストランに辿り着くまでに高まる期待と、食事を終えての余韻に浸るにちょうどいい。
※こちらの店舗は、現在閉店しております。
『Capitolo』の「フルーツトマトとモッツァレラの自家製タリアテッレ」
北イタリアで修業を積んだ女性シェフが腕を振るうイタリアン。実直で朗らかな人柄がにじむ“郷土の味”に心を掴まれる。
10年の本場修業がなせるワザ女性シェフのイタリア愛が結実
料理には作り手の個性が出るものだが、仲田 睦シェフが腕を振るう『カピートロ』のパスタを食べるとそれを強く実感する。23歳のときに、料理の道に進むことを決めたという〝遅咲き〞タイプ。都内のイタリアンで働いた後、本場の味を学びたい、自分の可能性を試したい、という思いで2000年にイタリアへ渡った。
北イタリアのトレンティーノで働くことを決めたのは師匠であり、家族のような存在でもある料理人との出会いがあったから。10年にわたるイタリア生活のなかで、仲田さんは日本人の女性シェフとして初めて自身の店をオープン。
店は連日、盛況だったが「日本人シェフということで和の要素を取り入れたイタリアンを求められ、思い悩んだこともあった」という。仲田さんが、いまも昔も変わらずにこだわり続けるのは、イタリアらしいイタリアン。その純粋で真っ直ぐな思いを象徴するのが、手打ちのパスタだ。
卵黄と小麦粉のみで作る手打ちパスタは、もちもちした食感と素朴な風味が持ち味。平打ちのタリアテッレにフレッシュなフルーツトマトと瑞々しいモッツァレラチーズを加えたパスタは仲田さんにとって、原点の味なのだという。
シンプルでストレートでピュア。料理人の思いが凝縮されたパスタを食べると、不思議なほど、胸が熱くなる。
地階とは思えない広々とした空間。カジュアルな接待やデート使いにも
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