それも1つのLOVE Vol.6

それも1つのLOVE:ようやく手に入れた高嶺の花は、近くで見るとキレイじゃなかった?

それもまた1つのLOVE。

愛してるとは違うけど、愛していないとも言えない。

あなたの身にも、覚えはないだろうか…?

浜松の公立高校を卒業し慶應義塾大学に進学した翔平は、キャンパスでS級美女・衣笠美玲と出会う。

洗練された彼女は手の届かない高嶺の花だったが、いつしか“特別”な関係となったふたりは翔平の27歳の誕生日を共に過ごす。

ところがある日突然、美玲は婚約を宣言。それにも関わらず彼女は翔平を自宅に誘い、ふたりは一線を超えるのだった


ないものねだり


奈々を食事に誘ったのは、一人で過ごす週末に怯えたからだ。

あの夜以来、美玲から連絡はなく、翔平からもしていない。



「高級で、落ち着かないわ…」

南麻布のイタリアン『カーザ ヴィニタリア』。目の前に座る、白いワンピース姿の奈々が、自信なさげに、おどおどとした視線を向けるのを確認し、翔平は心が満たされていくのを感じた。

翔平は昔から、なぜか奈々のこういう表情が好きなのだ。

高校時代の友人との再会には、もっとカジュアルな店を選んでも良かった。しかし敢えてこの店をセレクトしたのは、奈々の、こういう顔を見たかったからかもしれない。

「桜井は、彼氏とこういう店来ないの?」

そう聞いたのも、深く考えてのことではない。10年以上ぶりに会う奈々は見違えるほど綺麗になっていたし、付き合っている男の一人くらい、いて然るべきだ。

しかし、奈々の返答を聞いた翔平の心には、どういうわけか小さな嫉妬が生まれた。

「彼とは、焼肉や居酒屋ばかりよ」

彼氏の存在を前提とした奈々の答えは、望んでいたものではなかった。

…もちろん、そんな素振りは露ほども見せず「ふーん」と、努めて抑揚のない声で返したが。

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