二人の男で Vol.4

「お母さんみたい」恋人が心を開いて言った言葉に、女は絶望しか感じない

愛するか、愛されるか。

東京の賢き女は愛されることを選び、愚かな女は愛を貫くというのは、本当だろうか。

堅実な優しい男と、危険な色香漂う男。

麗しき20代の女にとって、対極にある“二人の男”の間で揺れ動くのは、もはや宿命と言える。

そんな彼女の苦しみが、貴方には分かるだろうか。

主人公の詩織・29歳は、自分を溺愛する年下の男・正男と半同棲中の平和な生活を送っている。しかし、余裕溢れる年上の男・英一郎に強引に口説かれ、徐々に気持ちが傾いていく...?


その気になれば、女は二つの顔を持つことができる


「誕生日会、楽しかった?」

同期の誕生会と嘘をつき、他の男と出かけたことを知らない恋人の正男は、その日、わざわざ詩織を迎えに来ようとした。

詩織は必死でそれを制し、慌てて『Crony』を後にしたのだった。

「同期の集まりなら、俺のことチラっと紹介してくれても良かったじゃん。俺たちの結婚式で、きっと余興とかお願いするだろうしさ」

正男の純粋さと図々しさは、紙一重だ。しかし彼には悪気がないのと、自身の後ろめたさから、詩織は強い態度をとれない。

「ごめんね。また改めて、きちんと紹介するから」

しかし、女はその気になれば、二つの顔を持つことが出来る。ほんの少し前まで英一郎との刺激的な時間を過ごしていた詩織は、従順な笑顔を年下の恋人に向けていた。

「悪い女だね」

去り際に耳元で囁かれた英一郎の一言が、やけに耳に残った。

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