二人の男で Vol.2

二人の男で:女に嘘をつかせたのは、危険な男。女が逃げ出したくなったのは、誠実な男

愛するか、愛されるか。

東京の賢き女は愛されることを選び、愚かな女は愛を貫くというのは、本当だろうか。

堅実な優しい男と、危険な色香漂う男。

麗しき20代の女にとって、対極にある“二人の男”で揺れ動くのは、もはや宿命と言える。

そんな彼女の苦しみが、貴方には分かるだろうか。


当然ながら、女とは、自分を労わり、優しく愛情を注いでくれる男に特別な価値を見出す。

しかし実は、負の感情を煽られ、自分を深く傷つけることのできる男に対しても、本能的に心惹かれてしまう生き物なのだ。

詩織にとっての英一郎という男の存在は、まさにその典型と言えた。

「CAさん?独身?もしかして、婚活に来てるの?」

二人の出会いは、ワインスクールの仲間たちとの軽い集まりだった。

明らかに見下したような態度で声をかけてきた彼の開口一番のセリフは、生真面目で少々神経質とも言える性分の詩織にとっては、ひどく屈辱的なものだった。

浅黒い肌に、不敵な笑み。

42歳だという彼は数々の飲食店をプロデュースする敏腕経営者で、ワインスクールの出資者でもあるそうだったが、初対面にも関わらず、無遠慮に詩織をからかったのだ。

「いいえ、違います」

詩織はあからさまに不快さを表情に出したが、英一郎は全く悪びれる様子はない。「冗談だよ、ごめんごめん」と、やたらと白い歯を見せて茶化すように詩織を窘め、場の空気を盛り上げた。

そして彼は会話が進むにつれ、今度は態度を一変させ、媚びるように詩織に絡み、大袈裟に褒めたりもした。

詩織は最初から、彼に翻弄されていた。

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